診療は苦手 | we85のブログ

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糖質制限11年目となる歯科医です。歯科界の歪み、私自身の日々などを書いています。ベールに包まれた歯科医師国家試験の現状についても追求。

大学勤務の時にはほとんどの時間を研究に費やしていました。歯科診療とは無縁の生活だったのです。今は研修医制度があるゆえに、基礎系大学院に進む場合でも歯科診療を経験しないと許されないようです。

 

私の時代にあっては大学を卒業すると自由ですから、一般歯科未経験でも研究職につく事ができました。これが悲劇のはじまり、というのは大袈裟でしょうか。大学院では病理学を勉強し世に出た時にはまったく一般歯科診療が出来ない状態。がしかし某病院歯科勤務ではそんな事を言えません。いきなり患者の前に出て、右往左往していました。

 

現在、本職は教育。歯科医師国家試験予備校で病理診断学を中心とした講義をしています。がしかし何の因果か週1回、遠方の病院で歯科口腔外科外来を担当しているのです。これが厳しい。診療の基礎を全く知らずに現在に至りますから、普通の歯科医が知らないような知識や技能も多少はあります。がしかし当然知っているような事が抜けていたりします。正直に申し上げると研修歯科医でもわかるような事でも知らない事があるのです。(いい年になって誰にも聞けません。これが悲劇かな)

 

 

こんな私ですが、歯科診療の場で私なりの信念があるのです。それは無駄な処置をしない、という事。痛くない虫歯を削らないし、歯周病は患者本人のセルフケアが第一選択。ですから歯科の患者として来た方に対して何も処置せず帰す事もあります。

 

こんな対応に陰で批判しているのは患者や看護師ではなく歯科衛生士。「we85は処置に自信がないから手を出さない」と露骨に言っている様です。面と向かって言われれば、私は怒鳴り散らすでしょうが陰で言われているのでやりにくい。

 

何でもできるスーパー歯科医なら許される事でも、私のような何も出来ない歯科医には正しい事も主張できないのか・・・しかし信念は貫きます。患者にとって不利益な診療行為をしてはいけませんから。正しい事を知っている者として曲がった行為は出来ません。

 

「歯科口腔外科」と言っても「歯科」の患者も多く来ます。大学病院では虫歯や歯槽膿漏お断りという所が多いですが、私の勤務先にあっては紹介状なくても可能。ですから町の歯科医が対応するようなヒトから重症歯性感染症や口腔癌のヒトまで様々なのです。週2回(うち私は1回)の診療ですから結構忙しい。

 

歯科診療だけでも負担なのに、ヒトの陰口にまで気にしていては回っていけません。ですから無視。私の前ではニコニコしているスタッフですが、陰では何を言われているのか・・・「we85って本当は偽歯科医でないのかなあ」なんて言われていても仕方ないかも。(なんと私の同期の歯科医は関東某県の大学口腔外科勤務した時、免許の提示を求められたそうです。)

 

それでも歯科診療には行きます。診療の基礎が出来てはいませんが、行くと楽しい事も多いですから。私の技能を横に置いて待ってくれている患者やスタッフ、無能な事を誤解し頼りにしてくれる患者や患者家族。このようなヒトの期待に応えるためにも、曲がった事はできません。無能と思われても信念を貫きます。