口腔粘膜病変の1つで日本語で扁平苔癬(へんぺいたいせん)と言います。通称リッヘン。歯科医師国家試験にも常に出題される疾病なのですが、実際には舌癌よりも頻度がはるかに低い病態です。これは良性疾患で癌ではないのですが、しばしば癌や前癌状態と誤診されやすい口腔粘膜疾患なのです。それゆえに国家試験に頻出されるのでしょう。
好発部位としては頬粘膜や舌。両側性(りょうそくせい)にみられる左右対称のレース状白斑病変です。中年女性に多く口腔粘膜の他に皮膚病変として発生する場合もあります。病理組織学的には非常に特徴があるのですが、肉眼では確定診断は難しくゆえに典型例でなくても組織診断を行うのが無難でしょう。
実際に舌癌と診断された方で本当はLichen planusだったという中年女性が居ました。水商売の方で余生を故郷で送るために店を閉じられたのです。ところが実際は誤診であり今もお元気なのです。某大学医学部付属病院病理診断科での誤診例です。しかし逆でなくてよかったですな、と私は申し上げました。
この疾病、c型肝炎ウイルスとの関連が指摘されています。扁平苔癬の患者を見つけるとウイルス検査を勧めるのがセオリーとします。このあたりも国家試験で狙われるのですが、私の学生時代には考えもつかなかった。卒後に抄読会でこれについて私自身が触れた事があります。医療は年単位で進歩するのですが、国家試験受験生にはたまったものではありません。毎年難解になるからです。今から扁平苔癬のわかりやすい講義資料作りをします