歯科診療において私が絶対に守る事があります。それは出来ない事、自信のない事には手を出さないというスタンスです。私自身、できない事を一番わきまえています。それを感覚で手を出すのは本当に危険なのです
埋伏歯。親知らずが斜めにはえていて、表面に出ていません。少しだけ顔を出しています。これが隣の歯を圧迫し鈍痛の原因となっていました。高齢者では珍しい(もっと若いうちに主訴があったはず)。しかし痛いと言われれば何とかするのが私の仕事です。単純エックス線写真と、パノラマエックス線写真を診ながら考えたのです。
埋伏歯の抜歯、私には無理です。相手が60代の比較的しっかりした方(精神疾患があるが)ので素直に申し上げました。「ハグキを切開して歯を抜く必要がある。しかし私にはできない。」と。付いてきた看護師さんがキョトンとした顔をしています。しかし私はこれでよいと考えていました。できない事はできません。できない事に手を出すと事故の元なのです
学生時代、口腔外科の講座に残ろうかと考えた事ありました。全身麻酔で口腔癌を摘出するくらい立派な准教授の先生が、外来で埋伏歯の抜歯に汗をかいています。私は見学で入ったのですが、何時間もかけて、親知らずを割りながらピンセットでかけらを集めておられます。しかし歯牙が全部でてきません。さらに時間がかかり局所麻酔が切れて患者は痛みを訴えます。
埋伏歯の抜歯。この大変さを見て、私は一般歯科だけでなく、口腔外科も無理と学生時代に悟ったのです。そして出来ない事や自信の無い事には手を出さないという徹底した考え方も、この埋伏歯抜歯の症例を通して受け入れられたような気がします。(今回の60代男性の当該の患者さん、某医科大学の口腔外科に抜歯を依頼しました。勿論、診療情報提供書には「私にはできません」とは書きません。恥ずかしいですから。)
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