一張羅を着てったら、『今日、なんか、うん、イマイチだね』と気になってるコに言われて激しく落ち込んだ友人を介抱していた今宵、いかがお過ごしでしょうか。やっと落ち着きました。友人は夢のなかです。
好みというのは人それぞれですから、少しずつ合わせていきゃ良いとありきたりなアドバイスをしました。
友人が分かってる範囲でそのコの好みを挙げてもらいました。
見るからに優しそうで、包容力のある年上。顔は色白で目が大きくて子犬のようなタイプを理想にしてるとのことでした。
なるほど。今、鏡があれば明言できるのですが...それはワタクシのことでしょう。若干酒も入って強気な発言をしてしまいましたが、おそらくそうでしょう。そんなワタクシの顔をまじまじと見て友人は言いました。
『わかった。じゃあ整形する』
笑うワタクシを全くの真顔で見つめる友人に、こちらも慌てて思い止まるよう説得しました。
『相手の好みに合わせてけって…』
確かにそうアドバイスしたけど、その決断は時間をかけて下すべきだと伝えました。
『そういう顔になりたい』『ならなくていい。同じ顔いらない』
『いいじゃん双子ってことで』
『いやいや三つ子になっちゃうから』
友人はワタクシが双子だと知らなかったようで、頭を抱えてました。なぜそこまでパニックになるのか見てておもしろかったです。とりあえずこの脱線した話をきっかけに整形話はおじゃんになりました。ひと安心。
そもそもワタクシに近づくなら顔を変えるよりも性別を変えるべきだと、本当はこう言いたかったけど、飲み込みました。
今のままでいてほしいもんです。そのままのあなたが好きという人間もいるのでね。そう想いを馳せながら隣でグーグー言ってるほっぺたをつねってやりました。今頃夢のなかで痛みを感じているでしょうか?
心も異性なら伝えられるのになぁと思いつつ、明日からも想いは胸のずっとずっと奥にしまっておきます。