恨んだ覚えはまったくない。
きっと目つきが悪いからだと思う。
音のする方へ向いた時、結局なにか分からず終いなのに、私の表情は軽蔑の表情に見えてしまうようだ。
名探偵みたいに心の中を
推理してくれる人はなかなかいない。
読まなくていいことは読み取ってしまうというのに。
嫌悪感を抱いた覚えもない。
そう思っているきみとふたりきり。
それぞれ気まずさを覚えているにちがいない。
その理由は互いに異なるはずだけど。
意を決して、きみは言う。
どう思っているのか、と。
腰を据えて話したいのか紙コップに珈琲を煎れてくれた。
─大事な話を聞き出す際はその人物に水は飲ませないほうがいい。
なぜなら言葉まで飲み込んでしまうから。
言うか言うまいか躊躇している相手に真実を吐かせたいなら水分を摂らせるな─
どっかの公務員さんがそう教えてくれた。
本音を知りたいのか、と確認した。
うなずく。
それを見て、紙コップを口から離した。
意を決して、私は言う。
きみを愛している、と。
思ってもいない言葉にきみは固まった。
心の荷が下りた私は再び紙コップに口をつける。
そしてきみは慌てて私からそれを奪いとる。
きみはなぜか謝り、礼を言う。
結局、返事は聞けなかった。きみの気持ちが落ち着いたら、ふたりきりの時にまた話をしようよ。
ただ、
人間って本当に読み取らなくていいことを読み取る。
─きみがくれた珈琲には毒が入っていたんじゃないか─
あの時もし確認しなければ、永久に言葉を飲み込んだままだったんだね。
でも
名探偵の口からじゃなくて私の口から直接伝えられて良かった。
そして今も変わらず、
私はきみを愛している。
もしNOなら、今度は珈琲を飲ませてくれよ。