どうも、おはようございます。
いますれ違った清掃のおじさん、あのビルの最上階に暮らす富裕層、そして何かしらの鳥の群れ、皆密かに思っているのかしら。よく見るなぁ、彼奴って。
雨の日も風の強い日も陽射しが馬鹿みたいに暑い日だってボクはここに来る。凍りつきそうな日も勿論だよ。だって死にたいんだもん。常に1割2分はそんな心持ちなの。
皆もそうでしょ?違うんだ?ごめんね、ネガティブで。
嫌なことがあるとすぐ足が段差に向いている。昼食の時もここに来るんだ、あと発声練習とか独り言を言いたい時も来てる。
気合いを入れるのも落ち込むのもここじゃないと調子が狂うんだ。多分端から見れば、常に調子の悪い奴だと思うけど。
皆ボクのこと見えているのかな。抱き合っていたり、言い争いをしていたり、踊っていたりと色々な人の色々な場面を目撃する。何も気にせず秘密の話をしている時もあるから、真偽を問いたくなるの。でも顔を合わすまで気付いてなかった時のその後の気まずさったらないと思うから、問わない。ちなみにボクはヒト科の人間ね。温かい血が通ってます。
この間ボクより顔が飄々とした印象の青年が、スキップしながら現れたよ。登山に行くような格好で来て、ボクを見つけるなり嬉しそうに近付いてきた。その第一声が、
「天然と養殖どっちがいい」質問の意図が解らず、呆気にとられていたけど、念を押されたから前者と答えた。
「それじゃ」
一言残してフェンスを登ろうとするから、背中のリュックを両手で掴んでフェンスから離れさせたの。木から昆虫を捕まえているみたいだった。
「何してるの」
「天然がいいって言うから」
「天然を選んだら、ああなるの?だったら養殖にするよ」
そしたら、口笛を吹きながらリュックからロープを取り出してきた。
「はい」
って渡された。
「絞めて」
自分の首を指さして言われた。
もう意味が分からなくて、世にも奇妙な…の音楽が頭の中を流れたよ。
「なぜ」
「養殖がいいって」
「そんな2択、人に選ばすなよ。普通食べ物とかそういうのに使うでしょ、その言葉。人の手が入ったら、養殖になるけど、この場合は殺人だから。考え方が怖いよ。人は巻き込まないで。ねぇなんで死のうとしてるの」
「きみを試すためだよ」
不敵な笑みを浮かべて、やっぱり怖かった。
でも現在は仲良くさせてもらっています。どうしてこうなったかは次の時に話すね。
朝礼が始まる時間だから、戻るね。ボクね、一応真面目なの。