よく見ています。
中でもよく見るのは掲示板や人生相談など。
そこには「ブラック企業で働いて精神を病んだ」
「毎日生きていても楽しいことがない」といった
ネガティブな書き込みがたくさんあります。
シンガポールで生活していると実際にそういった
否定的な意見と触れる機会が少ないので、
「日本は大丈夫だろうか」「いや、これは一部の
意見が偏って集まっているにすぎないのだ」
などと、軽く一喜一憂しながら読むのです。
書かれていることが正しいのかどうかは
よくわかっていません。
しかし現実を垣間見ることもあります。
昨年、日本の親しい経営者と話していて次の
ような話を聞きました。
それは4月に入社した十数人の新卒新入社員のうち
半数が半年もたたないうちに「適応障害」なる
医者の診断書を持ってきて辞めてしまった
ということです。
その会社は学生をきちんと面接して、これはという
人を採用し、入社までしばらく時間もあった
でしょうし、教育もおこなったでしょう。
そういった新入社員がものの数か月でどんどん
やめてしまっているという現実。
これはサラリーマン時代に転職を数多く経験して
きた自分にとっても、首をひねらざるを得ない
出来事です。
思い通りにいかないことを外的要因のせいにする
人は、いつの時代にもたくさんいます。
石の上にも3年だなどとは全く思いませんし、
会社にしがみつくことが賢い時勢でもありません。
しかし新卒で入った会社を、数か月で半分の人が
適応障害という理由で辞めてしまうのは
何か精神的な弱さを感じてしまいます。
そういった事実はインターネットの掲示板などに
書かれている内容と符合しますので、
「日本は大丈夫だろうか」と思ってしまう訳です。
シンガポールという国は人々の階層がはっきりして
います。経済的に成功するものと成功できないもの
がはっきりと目に見えます。
実力社会であり、富めるものと貧するものの違いは
歴然です。
フィリピン、インドネシア、マレーシアなどから
豊かになりたいというバイタリティ溢れた
出稼ぎ人がたくさん来ています。
彼らのハングリー精神の源は、「今をどう生きるか」
「祖国にいる家族にどう送金するか」といったもの
です。貧しい人ほど真っ先に家族のこと、そして
自分の今日、明日を考えて働いています。
生きることへの純粋な欲求とも言えます。
翻って、日本人はどれだけ真剣に自分の「今」、
そして親などの家族のことを考えて働いている
でしょうか。
会社が自分の思い描いていた環境でないから
働きたくない、何かあれば誰かが自分の面倒を
見てくれる。
世界的な競争が激しい現在、これではハングリーな
人々とまともに戦うことはできません。
また日本は年金など「老後」の心配をする人が
多いです。しかし老後というのは今日明日の
延長上にあるものですから、どう考えても
「今」を充実させる方が先です。
日本は社会保障が充実し、仕事もあるから生きて
いくことはできる、だから今をすっ飛ばして老後の
心配をする、ということなのかもしれません。
しかし、老後の設計がどう転んでも大丈夫なように
「今」を全力で生きる方が合理的な判断でしょう。
少なくとも5年くらいあれば、大きな成功を手にする
チャンスは、誰にでもあるはずです。
未来が予測できない時代だからこそ、日本の、
特に若者には「今」と真剣に向き合って欲しいです。
未来は毎日の積み重ねの先にしか
訪れないものですから…
