アーリーリタイヤメントに憧れなくなりました | シンガポール~熱帯先進国から見る世界

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シンガポールで進出支援・会社設立・資産管理をお手伝いする代表者ブログ
常夏のシンガポールから、つれづれなるままにコラムをお届けしています

人は何のために働き、また稼ごうとするのか…。
シンガポールという富裕層の多い環境にいると
そのことを考えさせられる機会は数多くあります。
一生食うには困らない資産を手にしているような、
羨ましい方々は周りに何人もいますので、彼らを
お手本に自分の生き方を見つめ直すのです。

私も以前はシリコンバレーのアメリカンドリームや、
会社を上場させてキャピタルゲインで
アーリーリタイヤメント…、というストーリーに
憧れたものでした。
しかし最近、自分の中ではその志向は減りつつ
あります。

その理由の1つとしてあげられるのは、まず実際に
稼いできた方はほとんどリタイヤしていない、
という事実です。もちろん、リタイヤしている方とは
仕事で出会う機会がないという事情もあるでしょう。
しかし人間、「ある程度稼いだら働くのはやめて
のんびりしよう」、とは必ずしもならないようです。
ステージが経営者から投資家に進むことは多いですが、
挑戦者であり続けるということが成功者にとっても
生きる証ということなのでしょう。
こうなるとお金の為ではなく好きなことに全力で
取り組めるようになるので、一段上に立って社会にも
貢献できる活動が中心になるようです。
それはそれで羨ましい環境です。

またもう1つの理由、私にとってはこれが主ですが、
毎日の仕事が非常に充実しているということです。
特に「知的好奇心を満たす」という意味で今自分が
おこなっている事業は、
天職と言えるほど充実しています。
リタイヤしてしまうとその充実感がなくなってしまい
ますので、仮に一生困らないほどの資産を手に入れた
としても、今の仕事を辞める気にはならないと思います。

そして事業を始めた頃はそこまで気にならなかった
ことですが、時間の経過とともに自分の事業の社会性が
気になってきます。単純な言い方をすれば、
興味の中心が「いくら儲かるか」から
「どれだけの人を幸せにするか」に移ってくると
いうことです。

考えてみればこれは当然のことで、初めはハングリーに
自分の成功のみを追求していれば良かったのですが、
お客様やスタッフなど関わる人間が増えるに
したがって、自分一人で仕事している訳ではなく
多くの人の協力で成り立っていることに気づきます。
そうなると、自分以外の人の幸福に目を向けるように
なってきます。

世の中にはいろいろなビジネスがあります。
ITや金融システム等を駆使して最少人数で多くの利益を
得られる事業も少なくありません。
自分の頭1つ・腕1つで稼げる機会が増えました。
そのような稼ぎ方をすると、人と関わらずとも安定した
収益を得ることも夢ではありません。

しかしそれだけでは何か虚しさを感じます。
お金を稼ぐというのは大なり小なり社会から利益を
得ている訳ですから、もっと何か社会に貢献したい。
実際にアーリーリタイヤメントを実現した成功者でも、
何人も戻ってきている人を知っていますが、お金だけでは
なかなか人間の幸福を埋めることはできないのかも
しれません。

そして人生でその境地に立つことができた人は
幸福であると思います。
クローバー