クラウドガール / 金原ひとみ
大学生と高校生二人の姉妹の物語。両親は離婚し、母は数年前に亡くなり、父はフランスだかに居る、らしい。姉妹は二人暮らしで生活費は母の祖父母が負担している。姉が短期の遊学?東南アジア方面から帰宅するところからストーリーは始まる。作風はこの作者特有の、同じ物語なのに個々の目線から描く、というふうになっている。
妹は浮気性の同級生と恋人風になっている。姉は今は特定な恋人はいないが、ふと立ち寄った食堂のオーナーと風変わりなぬいぐるみ?が縁で引かれ始めていた。
しっかり者の姉、甘えん坊の妹、とお互い性格も違い、フランスで父と一緒に暮らしたこともある姉はどちらかというとファザコン、妹はその間母と暮らし、父にはあまり関心がないような。物語の中心にいるのは母の方で、著名な作家であり、数年前脳梗塞で亡くなったとはいえ、net等でその死は話題になったほどだった。
締め切りに追われ子供の世話もあまりせず、常に自分の世界に入っていた母親。実は姉の方がそんな母に心酔していたのだった。これって何年か後の著者自身をイメージしていたのかな?と思ってしまう。
特に母親を介して強く繋がりをみせる姉妹、けれど記憶も母に対する感情も違い、それぞれの人生を生きる二人。ラストを読むと、いったいどういう物語だったのか・・・・と未消化な感じが残った。
★★★☆☆