「楽譜が練習に間に合わない!」を避けるには | WBP Plus!店長のセレクト商品今昔物語

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こんにちは!WBP Plus!の梅本です。

当店でよくいただくお問い合わせに「いつ届きますか?」というものがあります。

WBP Plus!の取扱商品のうち、現在90%くらいはお取り寄せ商品です(楽天市場店の場合)。

皆さんおそらく購入前に「納期のチェック」をされているとは思うのですが、購入したあとで「納期どれくらいだったっけ」と思い出すこともないでしょう。

また、チェック項目にチェックを入れているけど、実際には納期を確認していない場合もあるかもしれません。

いずれにしても、特に海外の出版社の楽譜の場合、海外から直輸入なので、けっこう時間がかかります。

当店に限らず、どのお店でも、海外出版社の楽譜を取り寄せ注文する際には納期についての注意が必要なのですが、具体的にどう注意すればよいのかわからないことも多いと思います。

今日は「楽譜が練習に間に合わない!」を避けるために、僕が店舗運営をしながら「こんなところに気をつけてみたらいいんじゃないのかな」と思ったことをまとめてみたいと思います。

「言うは易く行うは難し」かもしれませんが、トライしてみていただければと思います。


■逆算に余裕はあるか

練習を開始したい日から、取り寄せ楽譜の納期を計算して発注する人が多いと思いますが、特に海外からの輸入の場合、記載の納期通りに届く保証はありません。あくまでも各お店ごとの「予測」でしかないことに留意しましょう。

また、予定納期内に届いたとして、その楽譜に何か問題がある可能性もゼロではありません。(これについては後述します)

そう考えると、「届いた翌日から練習できるね」くらいの逆算だと、「おい!届いてないじゃないか!」とか、「おい!パート譜足りねえよ!」ということが起こり得る、ということも想像しやすいのではないでしょうか。


■取り寄せ楽譜の「納期」とは

店舗ごとに異なる納期が表示されているのを見たことがある方も多いでしょう。予定納期は各店舗のこれまでの経験則によるものです。

海外からの便は、ざっくりと下記のような経路でお店に入荷します。

お店がお客様から注文を受ける

お店から出版社(または問屋さん)に発注

出版社が注文を受付。入金(または決済)確認後に出荷

現地の郵便事業者や民間の物流会社が荷物を受け取り、日本に向けて荷物の移動開始

陸路などで各国の空港へ

税関検査を通過したら空港で貨物便に搭載

天候不良等がなければ飛行機が出発

便によっては燃料補給のため他の国で一休み

日本の空港に到着

税関検査を通過したら日本郵便やヤマト運輸などが荷物を引き受け

陸路などでお店(またはお店が外注している倉庫業者の倉庫)へ到着

いかがでしょう。
ざっくりとですが結構な手順を踏んでいるように思うかもしれませんね。

特に
・「出版社で注文を受付」から「日本に向けて荷物が移動開始」まで
・「陸路などで各国の空港へ」から「天候不良等がなければ飛行機が出発」まで
の部分で時間がかかる場合があります。

出版社がどのような物流会社を使うかにもよりますが、中間地点での不確定要素が多いので、「何月何日に届く」と特定できないのです。これは追跡番号が送られてきていても同じことです。

例えばHal Leonard Europeという会社の場合、通常はオランダ郵便を使うそうですが、当店の場合は速さを重視して、送料コストが高くなっても「UPS」という民間業者を使ってもらうように契約をしています。当店はUPSにアカウントを作ってあるので、出荷された後にUPSから「何月何日に配達予定」というメールが届きますが、だいたいズレます。


■無事に楽譜が届いた・・・とは限らない

上述の通りですが、楽譜が届いたあとはすぐに開封して中身を確認しましょう。

・パート譜が抜けていた

・落丁があった

・違う楽譜が届いた

などのトラブルが発生する場合が稀にあります。

「パート譜が抜けていた」「落丁があった」については、「そんなの店で確認しろよ!」と思われるでしょうが、このあたりはそのお店の出荷前確認の体制がどれくらい整っているかにもよります。

また、人間が確認するので、確認体制が整っていても、確認ミスが起きることはあります。

仮にお店側で「パート譜が足りないぞ」「落丁があったぞ」と気づいても、在庫がなければ差し替えもできないので、一旦それを先にお送りする場合が多いかもしれません。これもお店のその時や場合の対応によります。

「違う楽譜が届いた」については、お店側の注文ミスによる場合と、出版社側の出荷時のピッキングのミスによる場合があります。(ごく稀にお客様が間違えてご注文されることもありますが、今回はそれについては省きます)

この場合も、在庫がなければ差し替えもできないので、再発注という形になり、もう一度輸入の時間がかかることになります。


■練習に確実に間に合わせるには

そうはいっても練習予定日に間に合わせたいですよね。

まずは在庫のある店を探すことが優先ですが、いざ手配しようと思ったら国内のどこのお店にも在庫がない場合があります。

どのお店も「あなた」のために商売をしていますが、「あなただけ」のために商売をしているわけではありません。この違いを認識することは重要です。

ですから、「先週はまだ在庫があったけどすべて売れてしまったので、今は取り寄せになっちゃいますね~」ということも起こるわけです。

僕からは、年間のスケジュールの中で「選曲および演目決定の期限をかなり前倒しておく」、「楽譜発注のタイミングをかなり前倒しておく」ということをご提案します。

年次予算やメンバー編成などがあるので、練習開始の1年前に選曲を終わらせておくことは難しいと思いますが、9ヶ月前ならどうでしょうか?半年前ならどうでしょうか?

「納期を計算して発注したが練習に間に合わなかった」という場合、色々とお店に文句を言いたいと思いますが、客観的な事実としてあるのは「練習に間に合わなかった」ということだけです。クレームを入れても時間は戻りません。

間に合わなかったということは、結果として、運やお店側に非がある場合もありますが、あなたの(またはあなたの団体の)スケジューリングが甘かった、リスクヘッジが出来ていなかった、という側面もあるかもしれません。

それを避けるために提案できることは、「選曲と発注を今よりも前倒しておく」ということです。

練習を始めたいときに楽譜が手元にないと困りますが、先に手元にあって困ることはないですよね。

お店側も(どのお店も)お客様に気持ちよくお買い物を終えてほしいと願っているはずです。そのためにできる限り、できる範囲の努力をしているでしょうし、改善も進めていると思います。

それでも「まさか」は起こり得るので、早め早めの準備をオススメします。


■おわりに:犯人探しをしても時間は戻らない

楽譜が練習に間に合わなかったときに「自分に責任があった」と認めるのは心情的に難しいでしょう。結果的にお店に対して過剰に攻撃的な言葉や要求をしてしまうこともあると思います。

ただし「自分に責任があった」と認めづらい、これはどんな立場の人間でも同じです。責められるのが好きな人はそんなにいないでしょう。

誰の責任かということを問うことは出来るのですが、注文したあなたも、取り寄せを行ったお店も、そのとき在庫がなかったりした問屋さんや出版社の人も、「自分の責任である」と認められる、受け入れられる人はそれほどに多くないと思います。

なぜなら人それぞれの「当たり前」が異なるからです。

よほど攻撃的な人でない限り、無用なトラブル(裁判など)は避けたいでしょうから、実質的に「残念な結果になったけど誰の責任でもないよね」という話に落ち着かせて、素早く次善の策に移るのが賢明かなと思います。

犯人探しをして時間が戻るわけではないので・・・。

とはいえ、購入者にしろ販売者にしろ、自分になんらかの非があったと認める、失敗を認めて反省することで「次はもっとうまくやろう」という気持ちが起こりますよね。

もし練習に間に合わないようなことがあれば、購入者も販売者もどちらもですが、反省をして次につながる行動、つまり「練習に間に合うように発注するにはどうしたらよいか」を考えて実行に移すほうが、より良い明日に繋がっていくのではないかなと思います。

特にお店側は、どうにもならないこともあることは認識したうえで、それでも再発防止に向けて改善をしていくべきでしょう。


以上、今日は主に輸入楽譜の納期の実態についてのお話と、練習に間に合わないリスクを減らすためのお話をしました。

すべてのお店が常にすべての商品の在庫を持っていれば良いのですが、残念ながらこれは現実的ではありません。お金の問題よりも場所の問題が大きいかなと思います。東京ドームがほしいですね。


それではまた次回!