輸入楽譜はどうやって手元に届くのか、どうして時間がかかるのか? | WBP Plus!店長のセレクト商品今昔物語

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こんにちは!WBP Plus!の梅本です。

最近は減ってきましたが、輸入楽譜を取り寄せ注文された後で「いつ届くのか?」というお問い合わせをいただくことがあります。

おおよその納期は商品ページ内に記載しているのですが、お客様としては「何月何日に届くのか」ということを知りたいのかなあと思います。

ですが海外から直輸入する輸入楽譜のお取り寄せの場合、「何月何日に届くのか」を把握すること、または確約することはほぼ不可能です。

今日はなぜそれが不可能なのか、という点も踏まえて、海外の楽譜が当店に入ってきて、お客様のお手元に届くまでについてお話したいと思います。

なお、WBP Plus!で現在お取り扱いしている輸入楽譜はすべて海外から直輸入です。

お客様からご注文をいただくとき、在庫数が表示されていないものは、ほぼ在庫がなくお取り寄せの商品になります。上述の通り、おおよその納期は商品ページに記載されています。

ご注文確認後、またはコンビニ支払いや銀行振込の場合はご入金確認後、出版社に発注を行います。

この発注については2種類あります。

1. 出版社と直接やり取りする場合

2. 大きな出版社が小さな出版社など他の出版社の国際的なディストリビューター(販売者)となっていて、そことやり取りする場合

「1」はそのままですね。各出版社に各出版社が出版している楽譜を直接発注します。

出版社がこちらの注文を確認すると、だいたいの場合は「注文を受け付けました、出荷までちょっとまってね」というようなメール、または支払い用のリンクが記載されたメールが送られてきます。時差がありますので、メールが届くのはだいたい深夜2時3時頃。そのため、当店がその受注確認などのメールを確認するのは発注した翌日以降になります。

出版社によって支払い方法は様々ですが、事前にクレジットカードを登録している場合はササッと出荷してくれて、出荷後にクレジットカードに請求が来ます。PayPalや個別のリンクによる支払いの場合は、こちらで支払い処理をした後に出荷されます。

ただし、まれに出版社で品切れを起こしている場合があります。それを教えてくれるときと教えてくれないときがあるので、納期内に届かないとか、普段なら追跡用のリンクが記載されたメールが送られてくるのにそれが来ないとか、そういう場合にはこちらから「どうなってますかー」と問い合わせます。


一旦先に「2」の話をします。「大きな出版社が小さな出版社など他の出版社の国際的なディストリビューター(販売者)となっていて、そことやり取りする場合」です。

この場合、大元の大きな出版社の出版物はほぼ品切れしていないのですが、その出版社がディストリビューションをしている他の出版社の楽譜については、倉庫に在庫がある場合とない場合があります。在庫がない場合は、その大きな出版社から各出版社に発注をし、取り寄せるという形になります。

こちらからの支払いはすべてディストリビューターに行います。当店で契約している代表的な出版社は、ベルギーのHal Leonard EuropeやアメリカのAlfred Publishing、イギリスのStudio Musicなどです。ちなみにですが、アメリカのHal Leonardは現在個別の小売店契約をしておらず、アメリカのHal Leonardがディストリビューションしている作品はベルギーのHal Leonard Europeを通して購入するという、やや面倒なことになっています。

この「2」の場合は、在庫があればすぐに出荷されますが、在庫がない場合は一旦各出版社から取り寄せを行うので、納期がその分後ろに倒れます。

当店の納期で「3-4週間」「2-6週間」「3-6週間」などと割と長い納期を見ているものは、在庫がなかった場合も想定して納期設定をしているというわけです。ただし元の出版社の状況によっては想定よりもさらに時間がかかる場合もあり、想定納期が近くなっても出荷の連絡がない場合は状況をディストリビューターに問い合わせて、お客様にお知らせするようにしています。特に前述のアメリカのHal Leonardがディストリビューションしている楽譜は、Hal Leonard Europeに在庫がない場合に時間がかかる傾向にあります。


無事に出荷されるまでに、商品によってはこういう「待ち」の時間が発生するのですが、出荷されたあともまた大変です。

航空便で送られてくるのですが、空港までは陸路です。この陸路に何かが発生すると、空港に到着するまでに日数を要します。例えばアメリカでは寒波などによって車が動けなくなることがあります。

空港についた後は税関での処理と、航空貨物便への搭載があるわけですが、ここでも日数がかかる場合があります。

航空便そのものも、ひとっ飛びで日本に来ることはほとんどないので(燃料が足りないとか便がないとか)、どこかの経由地を経由することが多いかなと思います。そんなわけで空路でも日数がかかります。

これらは、どこから出荷されるか、税関処理がスムーズに行われるか、どんな便に搭載されるか、などによって出版社が出荷してから日本に入国するまでの日数が変わってきます。


日本の空港についたら、また税関処理があります。その後、日本の配送事業者(日本郵便やヤマト運輸など)に引き渡されて、陸路で当店まで来ます。

日本に入ってしまえばあとはだいぶ早いです。数日というところですね。

ですから、海外の出版社から出荷されてから日本に入るまでの間の日数が、毎回の便によって異なるということで、そのために当店(他店もだいたいそうですが)では予定納期に幅をもたせる形となります。

「2-6週間」であれば、「早ければだいたい2週間で入荷するけど、遅い場合は6週間くらいかかるよ」という意味です。その範囲内で「何月何日に届くか」ということまではわからないよ、ということなのです。

追跡用のリンクを送ってくれる出版社もありますが、それを追跡したとしても途中で状況がコロコロ変わって遅延も発生するので、やはり「何月何日」というのは実際に届くまではなんとも言えないものなのです。


無事に当店に入荷した後は、その日の出荷予定時刻に間に合えば、その日のうちに出荷をします。出荷予定時刻ですが、だいたい各営業日の14時を目安に締め切っています。土日祝日はお休みです。

いまは日本郵便でお送りしますので、出荷日から起算して、翌日(1日)~3日ぐらいあればお手元に届くかなと思います。広島からの出荷になりますので、距離によって異なります。


ここまでがおおまかな「取り寄せ楽譜が海外からお客様の手元に届くまで」の流れになります。


日本国内は優秀な配送業者が多いので特に問題がないのですが、海外の物流業者はクオリティが様々です。また社会情勢などによって空路が混んでいる場合、飛行機が予定通りに飛ばない(飛ばせない)こともあるでしょう。

何度かメルマガやブログで「選曲はお早めに」と言っているのは、曲が決まった後、日本のどこにも在庫がない楽譜の場合、このように取り寄せにかかる日数が読めない場合があるからです。

在庫があれば早いです。ご注文のタイミングや出版社と物流、すべてがうまく噛み合えば1週間かからない場合もあります。



また、ストア上にも記載はしていますが、輸入楽譜は出版社によっては入荷時に楽譜のカドに「折れ」が生じているものがあります。

これは昨今の「環境への配慮」というやつの影響で、なるべくプラスチックを使わないという方向になっている出版社が増えておりまして、そういう出版社は楽譜をプラスチックやビニールの袋に入れたりせずに「生」で段ボールにドーンと入れてきますので、それによって生じるものです。

国をまたいでいろんな作業所を経由して輸送されているうちに、段ボールのカドがぶつかって、中の楽譜も一緒にへこんじゃう、というようなパターンですね。いちおう緩衝材は入っているのですが、前後左右上下、が多いのでカドはあまり守られません。

ですので「カドが少し折れてるから交換してよ!」と出版社に言ったところで、梱包が同じなので次に送られてくるものも同じような状態の場合が多いですから、当店ではよほどでない限り交換はしていません。

楽譜なので、演奏に支障がなければそのままお使いいただくほかないかなというところです。輸入楽譜はそういうもの、と考えておいて頂ければと思います。(印刷ミスなどで演奏に支障がある場合は速やかにご連絡ください)


ここまで楽譜の話をしましたが、CDも似たような感じです。イギリスのCDはプラスチック包装なしでケースむき出しで送られてきますが、日本の皆さんはそれは嫌だと思うので、当店で包装をしてから出荷するようにしています。

またCDの場合はケースの破損がある場合がありますが、よほどボロボロになっていない限りはそのまま出荷します。

これも楽譜と同じで、レーベルから交換品を送ってもらっても梱包が同じなので結局割れて届く可能性が高いからです。

ケースではなく中身をご購入されていると思いますので(CDが聴きたいわけであってケースが欲しいわけではない)、ケースが割れているということは「衝撃から中身が守られた」ことだと前向きに捉えて頂ければと思います。

ひどい状態の場合は可能な限りこちらでケースを交換するか、ブックレットなどにダメージがあり売り物にならない場合はWBP Plus!のオークションに流したりします。すべてがどうしようもないときは破棄です。

届いたCDのケースのどこかにヒビや割れがあり、それがどうしても気になるという方は100円均一のお店などでも空ケースが売っていると思うので、それと差し替えてみてください。CDの輸入というのはそういうものだと思って頂ければ幸いです。(昔ロックのCDを個人的に海外から買っていたときはしょっちゅうケースがバキバキのバラバラになって届いたものです)


以上、今日は「実際にやってみないと知る機会もあまりないかな」という輸入に関するお話でした。


それではまた次回!