ダルチ、アルセ、ドネアが西岡を狙う

プロボクシングＷＢＣ世界スーパーバンタム級王者・西岡利晃（３５）に“モテキ”が到来した。元２階級王者ラファエル・マルケス（メキシコ）を判定で下し、日本人王者初のラスベガス防衛の成功から一夜明け、「徐々に実感がわいてきた」と笑顔。来春のＶ８戦に向け、今後も増加が予想される挑戦者候補について、陣営は厳選していく姿勢を示した。

　名王者と言っていい。聖地で強豪のマルケスを料理した西岡は一睡もせずに朝を迎えた。傷だらけの目の周辺は黒のサングラスで覆い隠したが、「勝った直後は実感がなかったけど徐々にわいてきた」と口元を緩めた。

　ビッグマッチがさらなるビッグマッチを呼ぶ。西岡戦にはＷＢＣ・ＷＢＯ世界バンタム級統一王者ノニト・ドネア8 件（フィリピン）やメキシコ人初の４階級王者でＷＢＯ世界スーパーバンタム級王者ホルヘ・アルセら強豪が観戦に訪れた。そして試合後「我こそは」と２人とも挑戦者候補に名乗り出た。

Toshiaki Nishioka × Rafael Marquez-西岡利晃＆ノニト・ドネア

　帝拳ジムの本田明彦会長（６４）は「この状況だと他にも名前がある選手が手を挙げるだろう」と語り、元３団体世界スーパーフライ級王者ビック・ダルチニアン（３５）＝豪州＝が“参戦”する可能性を指摘した。

　誰が来ても西岡に負けず劣らずの強打。かつてない“モテキ”を迎えたＶ７王者だが、「今は次に気持ちが向かってない」とスイッチオフの状態だ。

　本田会長は「アルセ側は売り込んでおり、条件面も提示してきた。それならば統一戦も１つの候補」と西岡がかねてから希望する他団体との王座統一戦も視野に入れた。ドネア8 件側も来年５月開催の日程を出してきた。西岡側は試合地は日本か米国に限定し、金額面も米国開催なら１００万ドル（約７７００万円）を最低条件に設定するなど、挑戦者を厳選していく方針だ。

　西岡は「やるんであれば米国でも日本でも構わない」と受けて立つ構え。ただ試合後に本田会長がＶ８戦での引退を示唆したことに関しては「何も考えていない。どうなるか分からない」と慎重な言い回しだった。ベガスの本物の空気を味わった西岡は大仕事を終え、４日に帰国する。

　◆ビック・ダルチニアン　１９７６年１月７日、アルメニア生まれ。３５歳。同国代表で２０００年シドニー五輪に出場。０８年にＩＢＦ、ＷＢＡ、ＷＢＣの３団体で世界スーパーフライ級王座を統一。戦績は３７勝（２７ＫＯ）３敗１分け。１６６センチの左ファイター。

　◆ホルヘ・アルセ　１９７９年７月２７日、メキシコ生まれ。３２歳。９６年プロデビュー。９８年のＷＢＯ世界ライトフライ級王座獲得から始まり、今年５月の同世界スーパーバンタム級王座奪取でメキシコ人初の４階級制覇。５８勝（４５ＫＯ）６敗２分け。１６４センチの右ボクサーファイター。

　◆ノニト・ドネア8 件　１９８２年１１月１６日、フィリピン生まれ。２８歳。長谷川穂積（真正）をＫＯした経験があるモンティエル（メキシコ）を２回ＴＫＯで下しＷＢＣ・ＷＢＯ世界バンタム級統一王者になり３階級制覇に成功。２６勝（１８ＫＯ）１敗。１７０センチの右ボクサーファイター。

http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/sports/article/news/20111004-OHO1T00051.htm