毎年、相談や悲鳴、嘆きが絶えない、夏休みの読書感想文の宿題。
これ、小学校低学年のうちに克服しないと、後々になっていっそう大変になってきます。
さらには、中学生や高校生、大学から社会人になるときなど、意見文や論文のチカラにも少なからず影響してくると思っています。
ワタシの経験上で、大学生の論文などを読むこともありましたが、「自己満足文」になってしまっていて、読み手になかなか伝わらないものも多くありました。
こっち(読み手)が知りたいことをうまく書けてないんですよねぇ。。。
そういう学生の子は、ゼミや研究室での発表などで、教授らの聴講者から攻撃されてましたなぁ。

さてさて、読書感想文。
まず、本の選定があると思います。多くの学校では、毎年、課題図書みたいなものがたくさん挙げられ、その中から選ぶんじゃないでしょうか。
中には、「これ、写真集では?絵本では?」なんてものもあったり、図鑑や科学の本でもOKな学校もあったりします。
まあ、何を読んでもいいんです、作文が書ければ。
ただし、1つだけオススメしない分野の本があります。
それは、推理・探偵モノ。
流行りの「○○探偵」を選ぶ子が毎年いて、かなり苦労しました。
なので、本を選ぶ際には、本人やパパさん・ママさんに口出しはしない主義でしたが、推理・探偵モノだけはオススメしないことを言うようになりました。
もちろん、読書はいいんです。感想文に不向きなだけです。
今回は、読書感想文に向いてる本について、具体的な作品ではなく、こんな感じ~、っていうのを書いていきます。

まずとにかくオススメしたいのが、動物が関わる悲しいお話。
「子どもが傷つくから、そういう類のはなんだか。。。」って言ってたママさんがいましたが、論外です。毎日フライドポテトやナゲット、テリヤキバーガーでも食べさせて、ブクブク太らせてください。
動物の悲しいお話は、子どもたちの感受性を育んでくれます。
さらに、こういったお話は、「自分だったら」の例示が書きやすいのと、様々な場面ごとでの感想を書けるので、作文が充実します。
一つ助言ですが、もし、ちゃんと読んでも、その物語の悲しさにピンときてないようなら、主観性が強すぎて客観性に乏しい、という可能性もあるんで、よりいっそう、そういった物語を見たり読んだりしないといけないと思います。


次のオススメは、ノンフィクション。
エッセイなどじゃなく、日本でも世界でも、社会のことを書いてるお話で、なるべく切ないものを。
例えば、写真集みたいな本だったんだけど、世界には何時間も歩いて学校に通ってる国があるよ、ってことなど、日本と異なる世界の実情が書かれた本。
つまり、自分自身の境遇と比較できるようなノンフィクションの作品です。これは、事例の紹介→自分自身との対比→思うこと、っていう形で、結構な文字数が稼げちゃうのです。
候補は少ないかもしれないけど、もし推薦図書等にあったら、ラッキーです。

最後にオススメするのは、なかなか難しいんだけど、切ない、歯がゆい、イラつく小説です。
つまり、愉快痛快なハッピーエンドではなく、なんだか余韻に浸れるような作品です。
高学年なら、「ふたりのイーダ」とか「こころ」なんていかがでしょうか。
こういった作品のよいところは、作品に描かれていない心情を、好きなだけ想像してよい、ってことです。
あの場面ではきっと主人公はこう考えたのだろう、ボクならこう思ってしまう、ワタシならああしてしまうだろう、などなど、本編と比較して自分の主観を対峙して、作文に書けるのです。

結局、読書感想文の本を選ぶには、ある程度のあらすじを知る必要があるのです。
愉快痛快なワクワク冒険活劇などは、「読む」っていうことを考えたらラクかもしれないけども、「作文を書く」っていうことには不向きなのです。
なので、読書感想文に苦労する予感のあるお子さまは、本だけは早めにしっかり選んでおいて、少しでも書きやすいものを選定する必要があるのです。

最悪のパターンは、夏休み残り数日で、「○○探偵」の読書感想文を書くことにしてしまい、作文用紙2枚以上のノルマ、ってとき。
ワタシでもお手上げです。