スタジオ・ジブリ作品だが鑑賞の経験は実は筆者は浅い。

『風の谷のナウシカ』はそんなに数を重ねてないし、映画館に足を運んだのも『千と千尋の神隠し』がジブリの最初だったし、何よりテレビで『ルパン三世 カリオストロの城』を観て初めて宮崎駿の名前を知ったのが大昔。『千と千尋~』なんて少女の成長物語となっているだけのせいか、あまりたいした映画ではなかった。

しかし『天空の城ラピュタ』は違った。あの躍動感に溢れたアクション、生きるエネルギーに満ちたスピード感、スケール感のずっしりとした爆発力、そして深い愛情のこもった音楽。

1986年に東映系で上映された作品だが、興行面ではあまり振るわなかった。もっともSNSの無かった時代だから、評判の良し悪しの共有も全く無く、宣伝は新聞広告に頼るしかなかった。観客動員数は77万人と言われている。

またぞろYouTubeでアップロード(↓)しようとしたが、久石譲によるスコア「空から降ってきた少女」は著作権保護の為にブロックされており、全ての地域で視聴できないとの警告を受けた。かなり厳しいな、これは。エンドタイトルである「君をのせて」はアップロードできたので今回は1曲のみ。リンクをタップ(クリック)して是非ご視聴頂きたい。画像は荒いが、チラシは1987年リバイバル上映時に配布されたものと思われる(意外と上映時期が判明していないチラシもあるのだ)。初公開時のチラシもあるが、これらには(2種類の絵柄)同時上映の『続・名探偵ホームズ』の広告も含まれているため、今回の画像には選ばないことにした。

東宝の作品ラインナップが発表され、宮崎駿の新作も併せて発表された。『君たちはどう生きるか』だっけな。どこかで聞いたタイトルだと思ったが、かなり難しく考えさせるかもしれないと予感している筆者。『となりのトトロ』を観ても、いい映画とは思うが、何しろ出てくる動物たちの説明がつかない。『千と千尋の~』に出てくる妖怪たちも説明がつかない。この想像力が人智を超えているために海外でも高く評価されたのなら、およそのところで納得はいく。『君たちは~』には行けたら行くが、まずはスタジオ・ジブリの特徴の一つであるスピードを伴った危機感が全作品を通していかに把握するかを筆者は学ばなければ、と思っている。そこにメッセージが込められているかもしれないからである。

『となりのトトロ』にはあったが、戦争や原爆に対する怒り。オープニングに流れる唄「さんぽ」にもメッセージがあり、原爆で焼かれた森を死んだ子供が散歩するとどう見えるか、なんてことも想起する。これの後に夜中に娘二人が見守る大樹の成長に原爆の大きな煙を見たのだ。

宮崎駿の父親は三菱の戦闘機の工場に勤めていたという話を読んだことがある。この息子として、彼はどう考えていたのか、彼の作品群から読み取る作業は今もまだ終わっていない。

『天空の城ラピュタ』は忘れていいかもしれない。どうしても前述の考えを汲み取ることができない。ああ、わからないままに楽しい鑑賞は過ぎていく。観終わっていた後は「ああ、わからなかった」と負けを認めるしかないのだった。

 

 

 

 

 

良いお年を。