仮初のエンジン音が耳に響く。
座るシートも、掴むハンドルも、
遊戯の為に作られた、安全かつ簡潔な娯楽用具。
だが。

「力みすぎだ黒焦げ女。
 それではハンドルを引き抜くぞ?」
「うっさいわね! 敵に塩でも送るつもり?
 これくらいでちょうどいいの、よっ!」

遊戯であろうとなかろうと、
2人が手を抜くことは無い。
騎乗スキルを駆使する騎士王も。
初心者だが必死にハンドルを回す竜の魔女も。
ただ勝つ為に、戦っている!

決着はもうすぐ。
敗者と勝者、決まる時は近い。