おれは悩んでいる。

毎朝悩んでいる。

悩んだあげく

毎朝洗車をしている。

ブログを一行ずつ改行して綴るあたり

わりと几帳面な方ではあるが、

そこまで綺麗好きというわけではない。

別に洗車をしなくても問題はないが

恥ずかしいから毎朝洗車をしている。

そして明日も日が昇ればまた洗車をする。

もはや日課だ。

ある朝、

目を疑うような光景を目撃した。

おれの車でオレンジ色の小鳥が遊んでいる。

どう見ても遊んでいる。

羽をばたつかせてハイテンションで一人遊びをしている。

いや、一羽遊びをしている。

そしておれは決定的瞬間を目撃する。


あっ!う◯こした!


オレンジ色をしたハイテンション小鳥は

糞をした。

おれの車で糞をした。

おれの車にハイテンションで糞をした。

毎朝車が糞まみれなのだ。

左右のドアミラー、全てのドア、ボンネット、リアガラス…

とにかく一羽とは思えないほどの量の糞まみれなのだ。

あの光景を見ると

小鳥のトイレを勝手に走らせているのはおれの方かもしれない。

始めはスズメやカラス達のお決まりのトイレになっていると思っていた。

まさか一羽とは。

しかも鮮やかなオレンジ色をしたハイテンション小鳥。

あいつただ者じゃない。

ただ鳥じゃない。

そしておれは新しい日課ができた。

毎朝のバードウォッチング。

なんてお洒落な響きだ。

トイレウォッチングの方が正しいかもしれない。

なんて卑猥な響きだ。

そしておれは日に日にヤツの特徴を掴んでいった。

オレンジ色に白と黒、

鋭く伸びたお尻。

まず左ミラーから攻めるタイプ。

しかしそんなことはどうでもよかった。

『ドアミラー 糞』で一発検索。

犯人はジョウビタキという渡り鳥だった。

チベットから中国東北部、沿海州、バイカル湖周辺で繁殖し、非繁殖期は日本、中国南部、インドシナ半島北部への渡りをおこない越冬する。
日本では冬鳥として全国に渡来する。
平地からの低山の明るく開けた林の中に生息する。
冬の日本では人里や都市部の公園などでもよく見られ、身近な冬鳥の一つである。非繁殖期はオスメスともに単独生活を行い、縄張りを作って同種を排斥する習性があり、異性個体や鏡に映った自分の姿にも攻撃を加えるほどである。
おじぎのような姿勢で鳴き声をあげて縄張り争いをする。
しかし人間に対する警戒心はわりと薄く、3-4 mくらいの所に降り立つこともある。
ウィキペディアより


どうりでおれにフランクな訳だ。

冬鳥という響きも美しい。

遠いところからはるばるおれの車までやってきてくれてありがとう。

長旅おつかれさま。

しかしどうしてハイテンションで一羽遊びをして糞を大量にするのだろう。

答えは『ドアミラー 糞』一発検索の中にあった。

縄張り意識が強いためミラーやガラスに映っている自分を

侵入者だと思い攻撃しているのだそうだ。

もちろん倒せるはずもなく長期戦になるため

結果的にその場でたくさんの糞をするそうだ。

決して糞で攻撃している訳ではなさそうだ。


あのオレンジ色をしたハイテンション小鳥は

何かを守る為に毎朝必死に戦っていたのだ。

毎朝磨かれたトイレでのトイレ休憩を挟みながら

ただひたすら目の前の敵から守る為に戦っていたのだ。

なんて健気なんだ。

守るものがあるのは弱さか強さか。

おれは強さだと思う。


冬が終わるその時まで

毎朝アイツのステージを磨いておれは待っている。

もしその時が来たら

アイツに歌を送ってやろう。


そして今日も

f 藤村佑樹には
u
n 運がついている。

funがついている。


一つだけ言いたい。

てかまだ冬始まってへんし。

おつ。


fin.