🔄 前回までの流れ
前回は、日本が単に借金の多い国なのではなく、
- 敗戦後の安全保障体制
- 在日米軍と極東戦略
- 米国債と外貨準備
- 日米関係による金融上の制約
という複数の縄に縛られていることを見ました。
日本は、円を守るためにドル資産を売りたい。
しかし、米国債を大きく売れば、米国だけでなく、自分自身の保有資産と日米関係も傷つけます。
つまりこの島国は、
動けば傷つき、動かなくても傷つく
場所へ置かれています。
今回は、その状態のまま国内で進められている、減税、給付、防衛費拡大、国債発行の連鎖を見ていきます。
第2回
💴 減税の先にある崖
利払いが国家を食い始める
「物価が高いから給付する」
「国民生活が苦しいから減税する」
どちらも、一見すれば国民を助ける政策に見えます。
しかし、本当に重要なのは、給付と減税のどちらを選ぶかだけではありません。
問題は、
歳出を減らさないまま税収だけを減らせば、その穴を何で埋めるのか?
ということです。
減税によって税収が減る。
防衛費は増える。
社会保障費も簡単には減らせない。
既存の補助金、基金、官僚機構、政治的な配分も残る。
そうなれば、差額は国債で埋めることになります。
🔄 取って配るか?、借りて配るか?
給付には、徴収した金をいったん政府へ集め、対象者を選別し、制度を作り、事務を委託し、再び配るという工程があります。
国民・企業から徴収
↓
行政機関へ集約
↓
対象者の選別
↓
制度・システム・委託事業
↓
給付
この途中には、事務費、発注、システム構築、広報、審査など、多くの予算と裁量が発生します。
減税なら、最初から国民や事業者の手元に残ります。
そのため、多くの人が、
「配るのではなく、最初から余計に取らなければよい」
と氣付き始めています。
しかし、減税だけを行っても、歳出を変えなければ国債発行が増えます。
つまり、
増税
→ 国民生活を削る
給付
→ 徴収と再配分の機構を肥大化させる
減税のみ
→ 歳出を削らなければ国債が増える
どの選択肢も、現在の支出構造をそのまま残す限り、別の場所へ負担を移すだけです。
📈 金利が上がると、過去の借金が現在を食べる
長い間、日本政府は低金利によって巨額の借金を維持してきました。
金利がほぼゼロであれば、借金の残高が増えても、利払いの増加は抑えられます。
しかし、金利が上がれば状況は変わります。
国債は満期を迎えるたびに借り換えられます。
新しく発行する国債の金利が高ければ、その影響は少しずつ国債費へ現れます。
2026年度の国債費は約33兆円規模となり、そのうち利子・割引料は約13兆円です。前年当初予算と比べ、利子関係費用は大幅に増えています。
この連鎖は単純です。
国債残高が大きい
+
金利が上がる
↓
借り換え時の利払い増加
↓
国債費が予算を圧迫
↓
社会保障・公共サービスを削る
または
増税・追加国債で穴埋め
↓
景気悪化・税収低下・国債増加
やがて国は、国民生活を支えるためではなく、
過去に作った借金を維持するために税を集める国
へ変わっていきます。
⚖️ 金利を上げても、抑えても苦しい
円安を止めるには、金利を上げることが有効です。
しかし金利を上げれば、
- 国債利払い
- 住宅ローン
- 企業融資
- 地方自治体の資金調達
が重くなります。
一方、国債費を守るために金利を抑えれば、円が売られやすくなり、輸入物価が上がります。
金利を上げる
→ 財政・住宅・企業が傷む
金利を抑える
→ 円安・物価高で生活が傷む
為替介入する
→ 外貨準備を取り崩す
もはや、痛みのない選択肢はありません。
今日のニュースメモにあった円介入観測は、単なる為替ニュースではありません。
それは、日本政府と日銀が、財政を守るのか、円を守るのか、国民生活を守るのかという三つの要求を、同時には満たせなくなっている兆候です。
🔜 次回予告
日本では、国債残高が膨らみ、金利上昇によって利払い負担が増え始めています。
しかし、日本が大量に保有している米国債の発行国である米国もまた、国債を売り続けなければ国家を維持できない状態です。
そこで現れたのが、ドル連動型ステーブルコインです。
次回は、
《米国債を支えるデジタルドル――世界中の利用者を新しい買い手に変える仕組み》
として、なぜ米国がステーブルコインを制度化し、その裏付けに短期米国債を置こうとしているのかを見ていきます。