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――クロサキショウ
―――くろさきしょう

黒崎翔

頭の中でリピートされた名前はやはり聞いたことのあるものだった。
聞いたことがあるといっても友達が話していたのを小耳に挟んだくらいだけど。
彼女はテレビをよく見る方では無かった。
親が二人とも教師なために、家では勉強を教えられ自由時間は制限付きだ。
学校に行っても家に帰っても教師がいる、学生にとっては地獄とも言えるだろう。
そんな中で育った彼女は成績優秀、不埒なことは一切知らず趣味は絵画鑑賞という、高校生にしては今どき珍しい存在だった。
「聞いたことは…かろうじてありますけど…」
「そっか、ならよかった」
また満足げに彼、黒崎翔は頷いた。
まさか芸能人だったなんて…
失礼なことしちゃった…
驚きと後悔が入り混じった気持ちで彼女は俯いた。
そんな彼女をみて
「あれれー?売れっ子俳優を目前にしてそのリアクション?」
今度は不満げにわざとらしく口を尖らせた。
「あ、えーと…すみません。何か色々…」
だって元から知らないんだからしょうがないじゃん、と心の中で不満を呟く。
「なんかおもしろいね君、なに子ちゃんだっけ?」
「あぁえっと…倉木怜です…」
「怜ちゃん?へぇ、男の名前みたいだ」
「…よく言われます。」
面白そうに言う翔とは違い、彼女、怜はうんざりしたように言った。
子供の頃から男の子の名前だって言われて、怜にはそれがコンプレックスの一つでもあった。
「でも、似合ってるよ。その名前」
と翔が言った。
名前が似合ってる…なんて、普通言わない。
でもなんだか、この名前を嫌いにならなくてもいいと言われた気がして、少しだけ嬉しかった。
「俺なんて本名嘉成岬だよ?女の子みたいでしょ」
笑ってそう言う翔。
岬…
翔よりかわいい名前だけど、岬の方が似合ってる。
さっき名前が似合ってるって普通言わないなんて言ったけど。
「でも、似合ってます」
さっきまでの涙はもう完全に退いて、怜は笑顔で答えた。
「私もそんな可愛い名前だったらなー」
「俺もそんなかっこいい名前だったらなー」
怜が言った台詞と同じ様に翔は言った。
そしてすぐ、思い付いたようにこう言った。
「…じゃあさ、交換する?名前」
「…え?」
「今から君が岬で俺が怜」
我ながらナイスなアイディア、と満足げに笑う翔。いや、今では怜と言う事にしよう。
そして岬は