
電気消失した東京から脱出をはかる家族...
矢口史靖監督
テクノロジーに飼い慣らされた
現代人への警鐘を鳴らすサバイバルロードムービーです
照明、テレビ、ケータイ、時計、車など
電化製品、電子制御してるものすべてが
突然全部使えなく
なってしまった日常の静かな崩壊の
怖さを
音の消える演出と
人間の理性が失われていく様で
じわじわと描くのがうまい。
東京から鹿児島へ向かう無茶道中を
いろんな人との出会いとの出会い
家族の機転で
なんとか進めていくあたり
面白いんだけど
ちょっと物足りなさもありました。
自転車旅の体力的な無謀さ描写、
トイレ問題、風呂問題、ほかの人たち問題、
実際原発とかやばいでしょ問題、
とミクロマクロな疑問点たくさんありますが、
半分寓話として
現代人は進化してるように見えて
実は大幅に退化してるんじゃないかと
原始人でもつけれた火はつけられない、
安全な水は得られない、
寒さはしのげない、
食料もよくわからない、
トイレも、風呂も
夜の暗さも、
何からも自分を守ることは難しいし
そしてなにより他人への優しさを
失ってしまっていることに気がつかされます。
電気を失ってバラバラだった家族が
面と向かって生きようとする姿は
こんな当たり前のことを疎かにしていたのだと
気付かされはっとします。
高速道路の都会人大移動とか
がらんとした街の風景とか
電車のこない駅のホームとか
機能停止したお店とか
よく撮影したな
っていうシーンがたくさんあるのも
見応えありでした
エンタメ度は低めですが
現代の寓話として、家族で見ておきたい佳作でした!