もっさん、この日は松戸へ。
お相手はいつものこの方でございます。

デビルマン「ドーモ、お疲れ様です」
パディントン「今回も宜しくオナシャス!」

師匠ともっさんによるぽっちゃり隊。
予約の取れない和食ランチへ、再び潜入します。




「懐食みちば (かいしょくみちば)」さん。
2024年6月11日訪問。
11時58分入店。

JR松戸駅より徒歩数分。
旧ISETAN、現「キテミテマツド」の地下フロアにて営業の「懐食みちば」さん。



食料品スーパー「ロピア」さんの奥側に隠れた一角はあたかも黒塀のように装飾されており、高級感が演出されています。

懐食みちばさんをプロデュースされたのは、「和の鉄人」こと道場六三郎氏。
道場氏がシェフを務められる「銀座ろくさん亭」さんの、実質的なネクストブランドです。


前回の記事にて、そのお料理のコスパの良さにブッ魂消た事をお伝えしました。
矢張りサービスし過ぎた価格設定だったのか(笑)、6月よりメニューが変更となっています。



基本的にランチタイムは全日で提供されていた「季節の昼席」が、土日祝を除いた平日のみの提供へと縮小。
代わりに、土日祝のランチメニューとして「六三郎コース」が新登場。
ウィークデイとウィークエンドで、完全にメニューを分ける格好となりました。

因みに新ウィークエンドランチの「六三郎コース」のお値段は、ざっくり「季節の昼席」の1.75倍。
如何に、これ迄がお安かったかという話ですね。


週に6コマあった昼席が4コマに減った事で、オンライン予約は更に加熱。
某T◯RETAは、まともにやったら15分は繋がりません。
このサイトはどのお店の予約に使っても、ホンマに酷い!

もっさんのように、事前に「この日に行きたい」という日程が決まっている身としては、大変にスリリングな予約チャレンジとなります。

逆に、どの日でも構わないっちゅー方はまだ気楽ですよね。
故に平日ランチの客層は、比較的時間に余裕のあるリタイヤ組や、それに準ずる主婦層が多いように見えます。

◯ 本日のランチ:水無月の昼席



懐食みちばさんの昼席は、その名の通り会席に則ったもの。
強肴を略した8品の構成です。
先附 引き立て一番出汁




コースは道場流の代名詞たる「命の出汁」からスタート。
このひと品の調理は、一ノ谷シェフが自ら手がけます。

パディントン「アーイイ……遥かに良い……」
デビルマン「美味い、実際美味い」

火の入れようや鰹節を引き上げるタイミングに、熟練の業前が込められている事に疑いは無く。
同じ材料と調理器具渡されたとしても、もっさんには絶対に真似が出来ませんね。

◯ 前菜 5種盛り



2品目は前菜5種の盛り合わせ。
暑い季節になった為か、4月にお邪魔した際よりも全体的に味付けは抑えめ。
酸味を効かせるなどして、口当たりが軽く食べやすいお料理が並んだ印象です。

◯ 前菜 穴子の棒寿司



◯ 同 鯛のサクサク揚げ



とうもろこしから作った生地は、細く切り出して糸状に。
これを衣に用い、鯛を包んで揚げてあります。
「サクサク揚げ」という品名から受けるイメージから更に頭二つ分くらい上を行く、未体験のサクサクゾーン!
振られたお塩の加減がまた完璧です。

◯ 同 夏野菜の旨酢ジュレ



夏野菜と帆立は、鰹出汁と酢を合わせた「旨酢ジュレ」で頂きます。

胡瓜は蛇腹切り。
帆立は小さめのサイズながら、2つにカットしてあって驚きました。
包丁仕事の入れようと気配りの美事さに、「料理は思いやり」という道場イズムが表れているように思います。

◯ 同 根芋のお浸し 揚げそら豆と糸がき添え



お浸しは「根芋」。
もっさんは初めて見聞きする食材でした。

「だつ」や「ずいき」の仲間で、親芋から出てきた芽を日が当たらないように栽培したものだそう。
平たく言えば、里芋のスプラウトですね。
丁寧に灰汁を抜いてあり、シャキシャキとしながら青臭さの少ない独特な味わい。
添えられているのは鮪節の「糸がき」。
この一手が、旨みに立体感を齎しています。

◯ 同 黄金チーズ



酒粕と西京味噌を合わせた漬け地にクリームチーズを1週間漬け込み、胡麻を散らして炙っています。

最早、「懐食みちばさんの大名物」と呼んで差し支えないでしょう。
チーズ好きなら必食のひと品です。

◯ 小吸物 鱧真丈椀




3品目は椀物。
鱧真丈を吸い物仕立てに。



淡路島産の鱧とか、頂くのはいつぶりじゃろう?
鱧は色味・食味・香味の三拍子が揃っており、背筋に電流の流れるような美味しさです!


鱧真丈の下には、命の出汁に浸った焼き豆腐と新玉ねぎ。
新玉ねぎは言うまでも無く、鱧と同じく淡路島産です。
この「合わせ」が憎らしいですね!
この日のお料理の白眉でした。

◯ 御膳盛り



お料理はいよいよ佳境に。
4〜6品目はコースのメイン、御膳盛りです。



仕切りの無いオープンキッチンも、懐食みちばさんの「売り」のひとつ。
3品をいっぺんに用意する御膳盛りの調理風景は、パフォーマンスとして見応えがあります。
もっさんが

「2人以下でお邪魔して、カウンターへ着席する事」

を、強く推している理由のひとつです。

◯ 刺身 鮮魚昆布和え



刺身は曹似の塩昆布和え。
塩昆布とお醤油をお出汁で割った、出汁醤油に合わせてあります。


イクラも乗っている事から味付けがやや濃ゆそうに見えましたが、これがまことに良い塩梅。

間に挟まれたレタスが、全く味わいの邪魔をしていないのにも驚かされました。
その野菜なんで入れたの? と疑問に思わせるカルパッチョとか結構ありますから。

◯ 焼物 ゆめの大地豚 黒酢ソース



焼物は北海道産の黒豚「ゆめの大地」のローストポーク。
黒酢に山椒を効かせた甘酸っぱいソースが黒豚ならではの脂身をさっぱりと食べさせると共に、お肉の旨みを引き立てています。




パディントン「すいませんライスくださ」
デビルマン「ステイ!」


添えられているのは豆苗としめじの炒め物。
これがシンプルながら、べらぼうに旨し。
ライス(


新じゃがのポテトソースがまた、只者ではありません。
おじゃがの甘みが最大限に引き出されており、かつ甘みにとってつけたような嫌らしさが皆無です。

ポテトサラダでは無くポテトソースというところもミソ。
ローストポークと一緒に口にした際に生じる、甘みの相乗効果!
デザインの妙に唸らされます。

◯ 煮物 丸茄子煮卸し



煮物は丸茄子の煮卸し。
丸茄子は大根おろしを加えた煮汁にて、柔らかく煮付けています。



丸茄子の上へ乗せたのは揚げたサゴチ・海老・秋葵。
更に上から「命の出汁の餡掛け」。
この揚げ物+餡掛けは、懐食みちばさんのフェイバリットのひとつでしょう。



丸茄子への火の入り方、味の入り方が正しく絶妙。
単体ではやや硬め・薄めに感じますが、煮汁と餡がバチッ!とハマる事で、却って素材本来の食感や味わいが活きています。
和食ならではの、引き算による最適解です。

◯ 御食事 季節の釜飯

7品目、御食事は通例2種からの選択制。
6月のラインナップは「冷し胡麻だれうどん」と「季節の釜飯」でした。
後者は更に留め椀として赤だし、若しくはお出しが選べます。

デビルマン「今回はうどんで!」
パディントン「わしは釜飯一択ですわ〜〜」

もっさんは迷わず、釜飯+お出汁にてお願いします。


登場の釜飯セット。
蓋からお出汁の良い香りが漏れており、否が応でも食欲を掻き立てられます。




はいぱっかん。
6月の釜飯は浅利でした。
深川めしを例えに出すまでもまく、浅利のお出汁とご飯の組み合わせはお江戸の風情ござる。



先ずはそのまま炊き込みご飯として、旨みをしっかりと味わいます。
上品かつ、とても膨よかな美味しさ。
ふうっと薫ってくる牛蒡の香ばしさが堪りませんぞ!



2杯目からはお馴染み、「道場流 命の出汁」にて出汁茶漬けに。
ここでは敢えて、薬味を添えず。




お出汁のお代わりをお願いして、3杯目と4杯目には薬味全ブッパの3段活用です。



最後はお茶碗に残ったお出汁と、香の物でオーバーキルフィニッシュ!
いやあ至福至福。
◯ 水菓子 特製あんみつ


コースの8品目は水菓子。
6月は特製のあんみつでした。



ちょこんと可愛らしいアイスクリームが乗せられており、キウイ・いちご・柑橘・レッドシードレスと4種のフルーツ入り。
柑橘は季節的に恐らく、甘夏だと思われます。




蓬を練り込んだ白玉が、夏を感じられて良いですね。
凡百の和菓子屋が裸足で逃げ出すクオリティに、思わずため息が漏れます。

◯ ホットコーヒー




追加オーダーしたホットコーヒー。
最近は和食の〆にも、コーヒーを合わせるのがすっかりお気に入りです。
このもっさんは、3年少し前までコーヒーは全く口にしない人間でした。
変われば変わるものよ。







今回も素晴らしいお料理の数々と、神コスパに感謝感激。
お会計の際にちょいとした小ワザを教えて頂いたので、次回はそちらも試してみるつもりです。
またお邪魔します。
ご馳走様でした。