もっさん、この日も六本木ヒルズへ。



へ参加のカレーを頂きます。
参戦Day3の2軒目は、こちらへお邪魔していました。




「毛利 サルヴァトーレ クオモ (もうり さるゔぁとーれ くおも)」さん。 
2024年4月20日訪問。
12時58分入店。

本格的な薪窯焼きのナポリピッツァを提供、かつ60余店のチェーン展開を行なっているサルヴァトーレ クオモさん。
日本のナポリピッツァ界に於ける巨人であり、ピザ業界全体を見回しても存在感のある企業さんです。



サルヴァトーレ クオモさんはピッツェリア、ピッツァ&バールなど数種のブランドを保有していますが、「毛利 サルヴァトーレ クオモ」はチェーンでは無く、六本木ヒルズ内にしか店舗がない単店扱い。
土地柄もあってか、お料理のラインナップはピッツェリアよりもリストランテ寄りです。

もっさんが同店へお邪魔するのはこれで4回目。
人気店につき土日祝の1回転目、11時入店は予約が必須のお店です。
オンラインからの予約はコースが前提、かつ限定カレーは12時より販売開始。
電話であれば席のみのキープは可能なようでした。
何にせよ今期グランプリに於いて、最も予約難易度が高かったのはサルヴァトーレ クオモさんでしょう。

一旦お店へ確認に向かいますも、当日は土曜日でしたので11時20分の時点で満席。
席が空き始めるのは13時頃とのこと。

まあ、ここまでは事前の想定通りでした。
もっさんは一旦お店を離れて用を済ませ、再来店は現着12時15分。
結果店頭にて40分少し待ち、入店はほぼ見込み通りの12時58分でした。




尚、この日は店外のテラス席に着座。
店名の由来にもなっている毛利庭園の名物、池上のハート型バルーンが良く見える席でした。

◯ 本日のランチ:至高オックステールカレー

毛利 サルヴァトーレ クオモさんは一昨年のカレーグランプリ、例年のグルメバーガーグランプリに出場。
イタリア料理の「らしさ」を演出したお料理は、

「王道から横へ逸れない」

という安定感があります。



今回の参加メニューも、伝統的なイタリア料理をカレーへとアレンジ。
1日限定10食の提供でした。
◯ 見た目のインパクト:★★☆



ドーンと乗せられた牛テール煮込みが、そらもうド迫力よ。
しかもふた切れでポイント倍点!
肉好きの好感度を稼いでますね。



しかし、視点を引いて全体を見てみると、やや地味な色合いです。
色味はお皿も含めて白と、オレンジから濃茶へのグラデーション。
ほんの少しグリーンも入ってはいますが、印象を変える程ではありません。
そこにもうひと工夫欲しかったです。
インパクトは0.5点マイナスで、星ふたつ評価とします。

◯ クリエイティビティ:★★★

もっさんの頼りない知見で言えば、カレー屋さんで牛テールをメイン具材としたカレーにはお目に掛かった事がありません。

この記事を書くに当たって軽く調べてみましたが、牛テールのスープから作ったカレーは見つかっても、牛テールそのものが入ったカレーはレトルトが数品しか見当たりませんでした。
後述するカレーの差異を含め、唯一無二のメニューと言って良いと思われます。
クリエイティビティは星みっつです。

◯ 味:★★★★★



では実食です。
このひと皿のオリジンは、ローマ地方の伝統料理「Coda alla vaccinara (牛テールの煮込み)」。



レシピ的にはトマト煮込みであるらしく、カレーもトマトをベースとしたベジタブルカレーです。
トマトの果肉感や繊維感がはっきりと残っており、とろみは付けていませんが重ための食感です。

濃ゆッ!
トマトを始めとした香味野菜の旨みが、ガッツリと濃厚に抽出されています。
にしたって濃くね? と思い食後にソムリエさんへお伺いしたところ、これは所謂「無水カレー」の手法で作られたとの事。
無水とは思い切りましたなあ!



メイン具材、オックステールの煮込み。
こちらも同じくソムリエさん曰く、煮込みだけでも6時間以上との事。
「仕込みで営業時間が終わります」との言が、シャレになっておられませぬぞ!

言うまでも無く、テールはメチャメチャ柔らか。
豪快に素手で持ち上げて齧り付こうと思いましたが、アツアツで断念(笑)。

ならばプランBです。
骨の部分を素手で押さえつつ、お肉をスプーンで刮ぎ取りましょう。
俺のターン!
紙おしぼり1枚をリリースし、解しテール肉をアドバンス召喚!



テール肉うっまあああああ。
柔らかさの中にしっかりとした噛み応え。
お肉の旨みと脂の旨みに、ゼラチンの食感。
初めて頂きましたが、牛テールとはこのような食材でしたか!

よく良く考えてみると、もしお邪魔した洋食店のメニューに「テールシチュー」が有ったとしても、まず初見では頼まないでしょうね。
故に今回、毛利 サルヴァトーレ クオモさんにてこのカレーを頂いていなければ、もっさんは牛テール肉を食べないまま一生を終えた可能性が大です。

そうした点では、このカレーグランプリは様々な経験・勉強の場になっております。
意義のある事だと思います。

食べ進めていく内に、じわじわとスパイスの辛さが主張して来ました。
オリジンであるコーダ アッラ ヴァッチナーラもスパイスをしっかりと用いるお料理ですので、カレー味へのモディファイ元として相性が良いと言えましょう。



側面に置かれた白いものはストラチャテッラ。
水牛のモッツァレラ・マスカルポーネ・生クリームを合わせたもので、分かる方には「ブッラータチーズの中身」で通じるでしょう。



濃厚ではあるもののやや単調になりそうなカレー・牛テールの味わいを良い意味で薄め、全体の味わいに変化を齎しています。
このアイディアは素晴らしいですね。
テイストは、文句なしの星5つです。

◯ 総合評価
味:★★★★★
見た目のインパクト:★★☆
クリエイティビティ:★★★



食べ手側が

「そこまでする?!」

と驚かされるクオリティ。
掛けた手間暇が美味しさに繋がった好例であり、リストランテの強みを十二分に活かした傑作です。
至高の冠に恥じない出来栄えと太鼓判を押します。

ワガママを言わせて頂くと、カレーの提供開始が開店と同じ11時だと非常に有難いのですが。
ま、その点は評価に含んでおりません。
いずれにせよ、待った甲斐ある美味しいカレーでした。
ご馳走様でした。