トマト

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もっさん、この日は荻窪へ。

既に何度か訪れている街なのですが、これまでの食べ歩きはほぼ荻窪駅の北側、青梅街道やその近辺に集中していました。

今回は時間がありますので、南側もゆっくりとロケハンを行うつもりでおります。
まあロケハンは一旦置くとしまして、目の前の本題を片付けましょう。

夏のカレー訪問強化月間、第13弾。
いよいよ「本丸」へと切り込みます。





「トマト」さん。
2023年8月29日訪問。
11時30分入店。




荻窪の地にて40年の歴史を刻むトマトさん。
欧風のカレーに於いて、その評判は東京都内でも頂点の一角。
カレー好きならば知らない人は居ないであろう、超級の有名店です。

「夏のカレー訪問強化月間」を始めた際、「スパイシーカレー 魯珈」さんとトマトさんには必ずお邪魔するつもりでいました。
その道のトップと評判を取るお店には、取り敢えず行っておくのがもっさん流でございます。

この日のもっさんは、普段よりもかなり早寝早起き。
地元駅の南柏を出発したのは、通常の出勤より約2時間早い午前7時ちょい過ぎです。



お店への到着は8時38分。
この時点では人っ子ひとり居らず、狙い通りのポールポジションです。

本来ならばこのまま、ランチタイムの定刻である11時30分を待つことになります。
が、この時期は

「暑い中を並んで待つのは大変なので」

という理由から、午前9時にはお店からマダムが出てこられます。
マダムへ入店の人数と名前を告げ、指定の時間に戻ってくる仕組みを採っていました。
事実上の記帳制です。

この日の並びは8時56分に2人目、8時59分に3人目。
9時の記帳開始前に並び始めておけば、1巡目はほぼ安牌かなという印象です。

無論、理由が理由なので、記帳制がいつ迄続くかは不明です。
この記事が公開される頃には、涼しくなって来るかと思いますし。
ともあれ、もっさんはマダムに名前を伝えて、一旦その場を離れます。

11時半少し前にトマトさんへ戻ってみますと、辟易とする暑さ!
お店は南向きですし、陽を遮るものが有りません。
なるほど、待たせなかった理由が分かりました。



ランチは20食程度の提供と聞いております。
平日でも開店前に売り切れるのが通例のようで、もっさんが戻った時点では売り切れ御免となっておりました。

11時半、マダムが出てこられ名前を呼ばれます。
定刻通りに開店、入店です。

店内には4人掛けテーブルが2つ、2人掛けテーブルが2つ、カウンターが3席。
席は贅沢に使うスタイルで、1番手のもっさんは最奥の4人掛けテーブルに案内されました。
この日1巡目の入店は5組7人。
2巡目先頭のお客の入店は、12時30分を指定されていた様子でした。

◯本日のランチ:ビーフタンカレー、季節の野菜入り
お料理はビーフタンカレーとシーフードカレーで迷っていたのですが、後者は6月〜8月迄はお休みとのこと。
恐らくはムール貝の入荷の関係でしょう。
もっさんはビーフタンカレーを季節の野菜入りでオーダー。
ライスは大盛りも選べるとの事でしたが、ここは一旦様子見です。


お先に配膳はお薬味2種。
玉ねぎのマリネと福神漬け。




10分ほど待って、いよいよ登場のビーフタンカレー。
おおう、これは思っていた以上の迫力でござるな。




取り敢えず、主役の牛タン様をライスにパイルダーオン!
でっか!
え、普通カレーに入るタンって、こんなにデカく無いですよね?!


タンはじっくりと煮込まれており、驚く程に柔らか。
ナイフを入れるとほぼ抵抗なく、スッと切れていきます。

表層部は舌へ乗せた端から容易く解け、内側も噛むのに歯なんぞ要らんというレベル。
その上で、繊維を噛む度に旨みがずっしりと染み出して来ます。
牛タンの煮込みとして、最上のクオリティです。


タンは大きなひと切れだけではなく、ひと口サイズのものがまだ数個残っています。
野菜も思っていた以上にたっぷりですね。


ざばっとライスに掛けまして、いよいよカレーそのものをじっくり味わいます!
ふう〜〜〜〜〜(嘆息)。
こりゃもうアレだ、もっさん的には、言うところの「欧風カレー」と最早ジャンルそのものが違うお料理ですわ。
スパイスの「厚み」と「奥行き」が、これ迄に自身が知る欧風カレーとは隔絶したレベルにあります
「普通のコーラ」と「クラフトコーラ」とか、そういうレベルの差です。
勿論、屋台骨であるフォンそのものもどっしりとしていてとても美味しいです。
フォン ド ヴォー、グラスドビアン、30種類以上のスパイスが織りなすソースはビシッと濃厚。
味わいに至っては、「美味い」以外の言葉が出て来ません!
ライスがガッツンガッツンに進みます!
⁡すいませんマダム、ライスの追加下さい。




季節の野菜は、ソースの上へ乗せたカリフラワーとブロッコリー。
人参、じゃがいも、エリンギ、マッシュルーム、ズッキーニ。




トマトはイタリア産のトマトソース缶のラベルに描かれているような、細長い種のミニトマト。
大根、長芋、丸ごと1本の秋葵、ししとうと和の素材も用い、極め付けはシャインマスカット!!
白葡萄に見えるこの具材、何じゃろ?→白葡萄だったわ!
野菜類は下拵えや火入れの仕方が其々に異なっています。
それらのタンやソース、ライスとの組み合わせの妙。
ひと口毎に新たな味わいを感じられる、正しく皿上のテーマパーク!
食べていて実に楽しいです!



薬味の玉ねぎのマリネ。
これがまた、只者では有りません。
酸味とお醤油の旨みをしっかりと纏い、かつシャキッとした歯触りを失っていません。
濃厚なカレーの食べ口を、スイスイと加速させてくれます。


ライスには最初からチーズとレーズンのトッピング済みです。
レーズンは色こそ薄いものの、かなりの甘口。
案の定、カレーを掛けたらその存在を忘れてしまいましたので、今の甘いのは何じゃい! とびっくらこきました。

また体感として、濃厚な味わいの割にとても食べ易いカレーでした。
表現が難しいのですが、食道からすとーんと胃の中へ落ちて行き、胃の中でもスルッと溶けていくような感覚とでも言いますか。



スパイス類の、所謂薬膳的な効果が現れているのでしょうかね?
身体へのダメージが少なく、寧ろ体調へ良さそうな感じもありましたね。

成る程、これは恐るべきカレーです。
世のカレー好きから高い評価を得る理由がよく理解りました。
マダム、追加オーダー良いすか??
◯本日のお代わりのランチ:ほたて貝柱カレー
前述の通り、8月末までシーフードカレーの提供はお休み。
また、和牛ビーフシチューとビーフタンシチューもお休みでした。
贅沢にタンカレー&タンシチュー食べ比べも一案として持っていたのですが、儘ならぬものです。

ならば路線変更。
シーフードカレーの片鱗を少しでも感じて帰りましょう。
追加オーダーはほたて貝柱カレー。
野菜の有無での印象の差も知りたいですから、トッピングは無しでお願いします。



また10分ほど待ちまして、登場のほたてカレー。
尚、お薬味やカトラリーはすべて新しい物と取り替えられています。


あ、こうなりますか!
野菜トッピング無しだと、ソースへは人参とかじゃがいものような定番も含めて、何にも入らないんですね。
割り切ったデザインです。



オホーツク産という貝柱は、大きなサイズのものがどーんと5個!
貝柱の加熱は恐らく、ソースを一人前ずつ温める際の小鍋へ途中での投入と見ました。
故に貝柱は半生であり、ソースに帆立のお出汁は殆ど出ていないように感じます。

帆立それ自体の旨みが強いので、濃厚なソースの中に埋没しません。
貝柱の甘さとカレーのスパイシーさに生じたコントラストが、独自の世界観を作り上げています。





おほほほ!
これは良き!
益々、シーフードカレーが食いたくなったわい!!



いや、至極至福。
素晴らしいお料理にマダムのサービスも含めて、食後の満足感が極めて高い空間です。
唯一無二のカレーライスでした。
ご馳走様でした。