ウィングの設定角度、今まで何年間も間違えていました。

学生時代、18mで練習をしている頃は「いつかは16mを回るぞ!」と思っていました。
16mを回れるようになったら「もっと力強くカットして、急いで減速しないと14mは回れない!」と思っていました。
14mを回れるようになったら「もっともっと力強くカットして、更に急いで減速しないと13mは回れない!」と思っていました。
13mを回れるようになったら「もっともっともっと力強くカットして、更に更に急いで減速しないと12mは回れない!」と思っていました。

急いで減速するにはウィングの角度を「もっともっともっときつくしなきゃ駄目だ!」と思っていました。
なので、ロープの長さを短くし次のステップに入るとき、1度ずつ設定角度をきつくしてきました。

18m 6度
16m 7度
14m 8度
13m 9度
12m 10度


1999年の春、フロリダのジャックトラバースの湖にビニーというフランス人がいました。
彼は14mスタートをするぐらいの腕前でしたが、確かウィングをつけていませんでした。

「どうして?」と聞くと
「14m近辺ではまだ必要ない」と答えてくれたのを記憶しています。


でもね、とまらないんですよ、実際に14mとかで滑ると。
もっともっともっと減速したいんです。
だって、力強く引っ張らないと角度がつかないし、18mで滑っているときと同じ時間で沢山の距離を移動しないとブイまで届かないわけです。
振り子ですから。

振り子で長い紐と短い紐、触れ幅を同じにしようと思ったら短い紐の振り子のほうがより沢山移動しなければいけませんよね。
でも振り子の周期は同じ時間じゃなきゃいけない。
そしたら急いで移動して、急いで止まらなきゃいけない。

スラロームもまるっきり一緒です。

より力強く加速して、より力強く減速する。
力強く減速するためにはウィングの角度をきつくする。
ショートロープを回る極意です。
きっと世界のトップスキーヤーも同じことをしているはずです。

極意のはずですし、信じていました。
でもビニーの答えが気になっていました。
信じていた極意が間違えていました。 10年以上、間違えていたんです。


発想の転換。


ウィングの角度を緩くすれば減速に時間がかかる。
減速の時間を沢山確保するためには、減速するタイミングを前倒しすればよい。
ウェークを通過した後で減速を開始しては間に合わない。
減速とはすなわちエッジチェンジ。
ウェークを通過する時点でエッジチェンジを始めればよい。
でもそんな事できるわけない。
ウェークでエッジを逆にしたら、R.O.W.になってしまう。

ちなみにR.O.W.とは、聞いただけでぞっとするROLLING ON THE WATERです。
出展: http://www.gtb.ne.jp/~booska/rolling_on_the_water/index.html


昔、軍神という方がおられて、ボートで後輩を教えられていたそうです。
△○さんがスラロームのカット練習をしていました。

「耳が水につくまで寝ろ」
そう軍神はおっしゃったそうです。
「はいっ!」
もちろん△○さんは答えたそうです。

そしてR.O.W.です。
軍神が乗った船が△○さんのところにやってくると。。。
「ぱち、ぱち、ぱち」
と軍神からゆっくりとした拍手が。
「△○、良くやった」
と軍神からお褒めの言葉が。

そうです、限界を、壁を超えられたのです。


私もこの教えに従い、カット連を沢山しました。
R.O.W.も沢山しました。
でも拍手とお褒めの言葉を下さる方は、そのときはいませんでした。



話を戻します。
ウェークでエッジを逆にしたらR.O.Wです。
でもウェークでエッジチェンジを開始しないと間に合わないんです。
エッジチェンジ=減速です。

減速を100歩譲ってウェークで加速しないと言い換えれば、どのようにするのでしょうか?

ウェークにスキーがあたった瞬間に、膝を柔らかくするんです。
膝を柔らかくすればウェークにつまずくことなく、ウェークで加速することもなく通過できます。
そうするとウェーク通過後の速度が遅いですから、たくさんの時間を使って減速することが出来ます。

こうしてWingの角度を緩くすることが出来るようになりました。
今では6度が好みのセッティングになりました。