ホンダ4輪車の完成車工場があるロジャナ工業団地では、ポンプによる排水作業が始まった。水没から丸1ヶ月たった2011年11月7日だった。

排水作業開始に1ヶ月もかかったのは、当然理由がある。排水したくても排水出来なかったのである。

ロジャナ工業団地含めたタイの工業団地は、もともと水田だった土地を開発して工業団地化している為、洪水対策として輪中提と呼ばれる工業団地を一周する堤防を築いている。ロジャナ工業団地の場合、輪中提の高さは2.5m。今回の洪水での最大水位は2.89m。堤防を越える水位の水が来たことになる。
まずは水位が2.5m以下にならないと、工業団地外に排水することが出来なかった。

乾季に入り10月25日を境に水位は自然減の兆しを見せ、毎日4~5cmずつ水位が低下し始めた。ここで水位が11月上旬には2.5m以下に低下し、ポンプでの排水作業の兆しが見えたのだろう。

しかし、水位が2.5m以下になったからといって工業団地内の水をポンプで排水し続け、外部との水位差を大きくしすぎると、堤防決壊の恐れがでてくる。なぜなら輪中提が水没していたので軟化しているからである。

11月19日、日本の国土交通省がタイに派遣した排水ポンプ車10台がロジャナ工業団地で排水作業を開始した。ポンプ車1台の排水能力は毎分30m3で、25mプールを約10分で空にすることが可能という。このニュースの意味することは、工場外の水位が大幅に低下していることを示している。排水しても輪中提が水圧で破壊されないのだから。

「ロジャナ周辺の水が引いたのであれば、Total Entertainmentへ行けるかも?!」
Total Entertainmentの状況を現認しに行く事を決めたのは、このニュースがきっかけだった。

(写真はロジャナ工業団地ではなく、バンカディ工業団地です。)