バンドメートのヨースク
「再来週、キリマンジェロいくよ。オレ」
小学校教諭 ”砂漠先生”は長い沈黙から口を開いた。
彼は、僕らの喋るトピックが尽きるのを待っていたようだった。
それは砂時計の砂が完全に落ちきってから、ひっくり返す… そんな動作に似ていた。
あれから約3週間が過ぎた。
僕は新しい勤め先で海外営業担当を任され、毎日朝の八時より夕方五時半まで
会社に閉じこもりっきりだ。
退社の時間には西から夕陽が頭を覗かせる。
今日の夕陽はいつもより紅い。 バイパス199号線のアスファルトに蓄熱された熱が夕陽を揺らす。
背中を無意識のうちに掻き毟りながらも、足は止まった。
「キリマンジェロからみえる陽はどうなんだろう?」
とっさに携帯電話を左の胸ポケットから取り出し、
そんな質問をメールに乗せて”砂漠先生”に投げかけた。
「朝陽は今まで見たことないような色に光っていた。酸欠できつかったけど、涙が止まらなかった。」
標高5700メートルを超えるアフリカ最高地の土や空気に
彼の身体は”反射”を起こしたのかもしれない。
彼のこの言葉は必ず僕をキリマンに導くはずだ。
Let's go キリマン。 no more ピザまん
ありがとう 先生。
