「早く言ってきなよ」Mちゃんに背中を押され、K君の前に立った私。

Mちゃんは少し離れた所でぐるぐる自転車に乗って遊んでいる。

私「久しぶり…だね」K君「あいつ(Mちゃん)相変わらずだなあ」二人とも微笑んだ。

何が相変わらずなのかな?わかんないけど、でもなんかいい雰囲気。

小学校の頃はこんな風に話せた事ってなかったな。やっぱ勇気を出してみてよかった。

私「えっと…また付き合ってほしいんだ」…いっちゃった。

「俺、今付き合ってるやつがいるんだ。でも誰にも秘密にしてくれるなら付き合ってもいいよ」

K君からの返事は意外なものだったが、(またK君と付き合える!)という思いの方が嬉しくてその条件で承諾してしまった。

今から冷静に考えると、それって結局二股ってこと。大人になってそんな男に会っても絶対に好きになんてならないと思うけど、私にとって初恋のK君…そんな男でもやっぱり初恋の思い出の中にいるK君は「そんな男」にはならないんだよね。いつまでたっても。

そしてまた私とK君は付き合い始めた。

今度は前と違って秘密の恋だけど、それでも毎日電話したり、学校は違って会う事はないけど前よりももっと親密になってた、と思う。

順調に交際が続いていき、そんな時、私の学校に転校生がやってくる。

その転校生とはK君と同じ学校だった子で、私とも小学校が同じで知ってる子だった。


中学に入ると私は部活動をはじめた。当時人気のあったバスケット部に入ったのだが、わりと筋がよかったらしく、1年生ながら特別コーチがついたり、先輩に交じって試合に出されたりしていた。

恋の方はというと…まだ小学校の時好きだった彼を忘れられないでいた。

そして中学1年の時、転校生がきた。その子は小学校の時、少しだけ一緒の学校に通っていた子ですぐ都会に転校していってしまったがまた同じ田舎に戻ってきたのである。

新しい学校で顔見知りは私だけ、という事で小学校の頃はそうでもなかったが、すぐに仲良くなった。

わりと家庭が複雑な子で完璧に放任主義の親のもとで育った子であった。

生活も好き放題で私も影響されていくことになる。

ゲームセンターとか覚えたのもその子の影響で、学校をさぼってゲーセンにいったり、その子の家で遊んだり、一言でいうと「グレて」いった。

ある日やはり学校をさぼってゲーセンで遊んでいると補導員のおばさんに補導され、交番につれていかれた。

その時は学校に連絡され、先生が迎えにきてくれたのだけれど…交番の中で先生にぶっとばされた。

今なら先生の暴力となると、かなり問題になるのだろうが。その頃は全然そんな事なかったし、むしろ「スポ根」的なスタイルが先生の間でも流行って(?)いたので、「暴力ふるえる先生がいい先生」みたいな認識があったように思う。本当に生徒の事を考えてくれている、といった解釈かな。

ただ私はぶっとばされて交番の中で吹っ飛んだけど、反省することは全くなかった。

そしてその友達、Mちゃんとは好きな人の事でも相談にのってもらっていた。

Mちゃんは小学校の時の私の彼K君の事を知っていたので「そんなに好きで忘れられないなら私がいってあげるよ」といい、私とMちゃんはK君の家にいくことにした。

電話で約束をとりつけて…久々に会うK君。

K君は小学校の時とは全く印象がかわっていた。小学校の時は爽やかなスポーツ少年だったのが、やっぱり反抗期になって私と同じように「グレた」のだろうか。

久々に会うK君は…まゆ毛がなくなっていた。

小学校時代最後の年、私は初タバコを経験した。と、いっても1本だけ。弟(当時小5)が吸っていたのをみて1本もらってみたのだが…やはり最初は煙くてむせるだけで「なんでこんなもん好き好んで吸うんだろ?」と思い、1本だけにとどまった。

そして6年生の途中に父親が家を購入、家族は隣の学区に引っ越す事になったのだが、私は小学校卒業まで後わずか、自転車で通える距離でもあったため、特別に小学校を自転車通学できる許可をもらい、最後まで転校せずにその小学校で卒業した。

そして中学入学。隣の学区になってしまったため、それまでの友達は皆隣の中学にいってしまい、私は最初から入学したにも関わらず、知り合いは1人もいない、まるで転校生の気分で中学入学した。

知り合いがいないと万引きにはしっていたのだろうか?この頃からまた頻繁に万引きをするようになっていた。

そして家を買ったとはいえ、電話もないし便利な電化製品も揃ってない、やはり家は貧乏だったため、もちろん小遣いなんてものもない。小遣い稼ぎのために中学からできるバイト、新聞配達を始めた。

新聞配達の仕事そのものは初めての労働ってこともあり、楽しくできていたのだが、一つだけどうしても怖かった事がある。

それは犬、野犬だ。田舎だったので当時は結構いた。

しょっちゅう追いかけられていたのだが、なんとか自転車でダッシュでいつもは逃げ切っていた。しかし一度だけ(もうだめだ)と思った事がある。いつもは1匹とかだけだったのに、その日は4匹くらいの群れだった。

自転車ダッシュで逃げたのだが…4匹に追いかけられると恐怖で足がガクガクしてしまって思うようにスピードが出せない。

足に噛み付かれる寸前…なんとか大通りまで出る事ができ、野犬達も諦めて逃げていったのだが。

本当に犬の鼻先が足にあたった感触を覚えているくらい近くまできていた。

普通ならそれで犬が苦手とかになるんだろうが…馬鹿なのかなんなのか、私は昔から今でも犬が大好きなのである。

新聞配達もそれでやめるとかいう事もなく…いい言い方でいえば根性があったのだろう、昔は。