その人はひとなつこく話しかけてきた


歯切れのよい関西弁で



聞けば小さいころからピアノに慣れ親しみ


音大を卒業し 元 音楽の先生だという



へえ やっぱすごいな


ほとんどが音楽に精通した経験者だ



わたしなんて思いつきで数年前からピアノをはじめ


合唱なんてまったく興味もないのに


ピアノの先生から言われた「歌えないとうまくならないわよ」の一言で


場違い的にまぎれこんだだけ


騙されたと思ってとりあえずやってみよう


いやになったらすぐやめればいい


きっかけはそんな軽いノリだった





本番 


その人はわたしの隣だった


よく声がきこえる


やはり事前に話を聞いていただけに


自分も歌いながらも耳をすませてしまう



ところが、、


歌詞をあまり覚えていないのか聞こえたり聞こえてこなかったり…


よくよくきけば 歌詞が間違いだらけなのだ


しかも音程がすばらしくはずれている箇所があり


もうわたしは途中でたまらなくなってしまった


まさかこの場におよんでネタではなかろう


いくらなんでも相手が関西人だからといって


そこはさすがにつっこめない


じっとこらえるしかないのだ






世の中にはいろんな人がいる


不完全なところに人間味を感じたり 好きになったりする


うまい具合にバランスなんだな




人と会うのが最近ちょっと面倒になってたけど 


やっぱりいいな


人って