この前の火曜日、山形県酒田市にある土門拳記念館まで行って、帰ってきました。
記念館は庄内空港の近くにあるので、株主優待券とマイルを駆使して、空路で行けば、JRを使った場合と同じような金額で、しかし時間は羽田ー庄内間片道1時間弱という爆速で遂行できました。旅行というより、土門拳記念館に行きたかっただけなので、施設に約4時間の滞在。
なぜ行きたかったかというと、「植田正治と土門拳ー巡りあう砂丘ー」というテーマの特別展を見たかったから。土門拳は、泣く子も黙る「絶対非演出」というリアリズム写真を掲げ、一方植田正治は、独自の演出手法で「植田調(UEDA-Cho)」といわれる作品を生み出し、両者とも日本を代表する写真家ではありますが、写真に対する考え方は180度違います。
その二人の関係はどんなだったんだろうかとすごく興味がわいて、何か文献を読めばわかるのでしょうが、どうしても見に行きたかったのです。
先日亡くなられた篠山紀信氏とアラーキーこと荒木経惟氏が仲がよかったのに、荒木さんの奥さんの写真をめぐって決裂してしまった話も聞き、なんか土門氏と植田氏も仲悪かったんじゃないよなというのを確認したかったからという低レベルな動機でもあります。
写真やパネルに書かれたことを丹念に読んでいくと、荒木氏は植田氏の作品を認めていたし、植田氏は戦争やリアリズム写真の風潮の中でも自分にはこれしかないからと自分の作風を貫き、一方、一世を風靡した「絶対非演出」を唱えた土門拳は、そうは言ってもなんとなく心の揺らぎや悩みが見て取れた。
うんちくを語れるほど勉強も写真歴も短いわけだけれど、非常に充実した時間で来た甲斐があったなあ。
土門拳記念館の周りは飯森山公園があり、あじさいがたくさん植えられていた。
展示を見たあとは、帰りの飛行機の時間まで、あじさいを撮りながら散策して、酒田を後にしました。
左が植田正治、右が土門拳。作品の雰囲気はこの作者の雰囲気そのものだ。