漫画「モディリアーニにお願い」相澤いくえ  小学館ビッグコミック | オヤジのブログ

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漫画「モディリアーニにお願い」相澤いくえ 

小学館ビッグコミック

 
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東北にある、バカでも入れる小さな美大。
山の中にあって女子がほとんどの学校である。
壁画の千葉と、日本画の本吉と、洋画の藤本は、同学年の気の合う仲間。

冬の寒さも、制作の厳しさも、学生の楽しさも、将来への不安も分かち合いながら、
ともに過ごしている。

真剣に創作をしながら。
(文庫本裏表紙より)

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タイトルのモディリアーニとは、ご存知、あの首が長くて目の中に瞳が描かれていないなどかなり印象的な肖像画を多く残しピカソやユトリロなどとも交友関係にあった。存命中、世の中に評価されなかった不遇のイタリアの画家。
この漫画は、才能ある友人達を前に自分の可能性を見いだせずに挫折しかけたり、逆にそんな友人たちがいてくれたおかげで立ち直ったり、高額な画材に係る経済的な問題なども含めた主人公たちの芸大での日々を、ところどころモディリアーニの生涯になぞらえたりしながら物語が進行していく。
主人公のひとり、千葉はとにかくがむしゃらで一途、そして本当にバカ。でも、作品作りに掛ける情熱は人一倍で、きらりと光る才能を持っている・・・かも。
本吉は天才と言われ、大きなコンテストでも何度か賞を取ったほどで、描いた作品が高額で売れることもしばしば。しかし、東日本大震災で心に傷を負い、なんとなく作品づくりに距離をおいている。
藤本は、そんな非凡な二人を眼の前に、努力しても追いつけない(と思い込み)自分の凡才ぶりを嘆き、しかし描くことの衝動は抑えられず葛藤する日々を送っている。
それぞれが悩みを抱え、でも大切な仲間たちに支えられながら、少しずつ成長していく姿が描かれている。
おそらくは作者自身の体験が元になっていて、登場人物たち一人ひとりの言葉には真実味があり、共感を覚える。
千葉の回想の中で、高校の時、教育実習で来た美術の先生が「結局『好き』が一番強い。好きはどこにいても好きでいられるから。」っていう言葉があった。
自分の好きなことが貫き通せたら、それは確かに最強だろう。
でも、それを真に追い求めるには多大な犠牲が伴う事も有る。
身を削って描き続けたモディリアーニのように。
舞台になっている学校は一度だけ訪れたことがあると思う。

多分。
仙台市のはずれのほうではあるが決して山の中ではない、けれど小高い場所にあり徒歩で登ろうと思ったら大変かもしれない。
バカでも入れると謙遜されているが、専門の学校でないにもかかわらず美術を学ぶ設備は充実しているし、生徒さんたちも生き生きとされていた。
まさしく、ここの生徒さんたちは、「好き」を学びに来ているのだろうなあと思う。
漫画の中にもあったけど、学んだことを生業にするのは(美術に限らず)難しい。
でも、(特に)学生のうちは失敗しても取り返しが付く。
仮にだめでも、別な道に進んだとしても、モディリアーニにもピカソになれなくても、好きで有り続けることは出来るし、それは幸せなことだ。
だから、どんな不可能に思えるようなことでも一度は挑戦してみないともったいない。
自分は・・・・親や学校の勧めで進学を決めてきたけれど、こんなふうに自分の意思で自分のやりたいことを学べたら素敵だったろうな。
世の中に失敗をする事を恐れるなっていう名言がたくさんある。
多分みんな同じ気持ち。その意味が年を取ってからわかった。

あんまり分別くさい言葉も話も嫌いだけど、
青年よ大志を抱け
だ、多分クラーク先生の本来の言葉の意味とは違うかもだけど。
う〜、ナニを言ってるかわからなくなってきた。

ただ、漫画は本当に面白かった。

芸大じゃないけど、自分の学生時代を思い出した。
多分美術を志したことのない人にも面白いと思う。

でも、あんまり書店に並んでないんだよなあ・・・
面白いと思うのに。