紙の動物園(文庫本の方) | オヤジのブログ

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紙の動物園(文庫本の方)
ケン・リュウ
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これも古本屋。
ハヤカワの水色の表紙の中に、SFとはちょっと不釣り合いな感じのするタイトルのこの本を見つけた。
ケン・リュウ・・・そういえば何年か前、新聞広告だったか、本屋で平積みになってたかで見かけた気がするなあ。

嫌ナントカって訳ではないけれど、逆に、この本が出たのって、中国では反日とか抗日運動が盛んだみたいなニュースが盛んに流れていたころだったか、興味は惹かれたんだけど、わざわざ向こうから嫌って来る国の本を読むこともないかと、手に取ることもなしかった記憶がある。

この日は結構時間があったので、取敢えずページを繰ってみた。
すると、まず最初にこの短編集の表題になっている「紙の動物園」が目に入った。
お母さんの折り紙の動物が動き出す・・・ファンタジーかあ・・・こういう系は苦手かなあ。
パラパラとめくると、主人公の母親が「お父さんにカタログで選ばれた」なんていう行が目につく。
人身売買・・いやSFだからアンドロイド?、ちょっと興味を引かれて最初から読んでみたら、折り紙の件は別にして、ワールドニュースなんかでは現実にありそうな話を、親と子の関係に絡めて、なんとも切ない、印象的な話にまとめてあった。
その後、もう一遍、「文字占い師」を読んで、暗く、重めのテーマだけど、SFやファンタジーの手法をうまく使って人の結びつきみたいな部分を丁寧に表現してる作風に惹かれ、結局買うことにした。
(まあ、文字占いの話はSF色もファンタジー色も薄い気がするけど)

たまたま読んだ2編は民族の問題を扱った同じ色調の話だったんで、全てそんな感じなのかなと思ったら、確かに話の底に祖国やアジアの民族に関わるものは多いが、惑星植民地の話あり、人工知能の話あり、遺伝子情報や歴史改変など、いろんなジャンルにわたる話があり、悲劇だけでなくハッピーエンドや、ホラー的な終わり方など、流れも多岐にわたっていた。

短編の個々のテーマにはアイデアを感じるし、奇をてらわず読みやすく、すんなり頭に入ってくる。
逆にそのせいで一部の作品は軽すぎるように感じる部分もないことはないけど、全体を通して面白い、良作だと思う。

ところで、嫌ナントカではないと書いたが、ニュースや領海問題など、に加え、随分前、中国へ旅行した際の種々のトラブルなども思いだしたりして、正直中国にはあまり良い印象がない。

ただ、知り合いの中国の人は皆おおらかだし、頭も良くて面倒見もいい人が多い。
それに、考えがはっきりしていて、気遣いもある。
色々言われているマナーも、日本に長くいる人はちゃんとしてる。

まあ、良くも悪くも、はっきりした物言いの底には、よく言われる徹底した個人主義というか利己主義的な部分があるのかなとは思う。
(だから、集まっちゃうとあんな感じになるのかも知れないな)
それに、興が乗ると、しゃべりがケンカ腰みたいになるのはちょっと・・・(笑)

なので、まあ、中国という国にはあまりいい印象はないけど、中国の人たちは嫌いじゃない。

あれ?読書感想じゃなくなっちゃった?・・

年明けからぐだぐだだけど、まあ、ぎりぎりまだ松の内ということでひとつ・・・。