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■復興計画遅れ 資金が塩漬け

 東日本大震災以降、東北地方の地域金融機関で預金残高の急激な増加が続いている。岩手、宮城、福島の被災3県の地方銀行、第二地方銀行の預金残高は8月末時点の合計で、3月末比約11%増の14兆7千億円超に膨れあがった。被災者に支払われた多額の保険金が銀行の預金口座に振り込まれたが、復興計画の遅れから貴重な資金が活用できず塩漬けとなっている。

 最大の被災地である宮城県の地銀、は震災後、預金残高が8千億円超も増加した。増加分は県内の第二地銀、の預金残高に匹敵する。

 その仙台銀行も8月末残高は、3月末比で約14%増加。津波で甚大な被害を受けた石巻市のでは「増加幅は40%以上で、過去最高の残高」だという。調査による全国の国内銀行預金が、この間1・18%減少したのに比べると、その伸びの大きさがよく分かる。

 ■大部分が保険金

 預金の増加分は、震災で被災者に支払われた保険金が大部分を占める。生命保険の死亡保険金は10月6日現在で1361億円、地震保険は9月28日現在で1兆1531億円にのぼり、地震保険の約7割は被災者の口座に振り込まれた。振り込まれた資金は、本来、家屋や店舗の再建に使われるはずだが、復興計画が遅れ資金を活用できず、銀行内に滞留している。

 津波被害で浸水した地域では、建物の建築が大幅に制限された。集落の高台移転の計画もあるが、いつから実施されるのか明確でない。地元企業についても「高齢化などの問題もあり、地域の事業者の再建意欲は低下してきている」(商工組合関係者)。

 ■「逆ざや」も危惧

 銀行にとっても積み上がった預金が重荷になりつつある。地銀などは復興需要の拡大に備え、いつでも現金化できるよう日銀の当座預金などに預け、運用益が期待できる債券や株式には回しにくいためだ。

 そのうえ預金が増えると、預金残高に応じて一定の保険料をに支払わなければならない。預金保険料率は普通預金で0・082%。8月以降、各行は預金の増加分についても短期債券で資金運用しはじめているが、1カ月から6カ月程度の短期債券での運用になり、金利は0・1%程度。運用益よりも預金者への利息や経費が上回る「逆ざやになりかねない」(宮城県内の金融機関)との声も聞かれた。

 復興の資金需要が本格化するのは「早くても12月以降」(関係者)とみられる。ただ貸し出しが増えれば、今度は焦げ付きに備えて多額の貸し倒れ引当金を積む必要が出る。経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な地域金融機関は自己資本の増強も不可避で、仙台銀行と筑波銀行は公的資金の注入を申請、七十七銀行も申請の検討に入った。

 被災県における預金残高の増加スピードは、10月に入りやや緩んできたようだが、「原発関連の補償金などで今後さらに増加する可能性が高い」(福島の東邦銀行)という。政府による復興計画の遅れは、これ以上許されない状況だ。




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