アニメ「うた恋い。」最終話の感想、

とっても良い最終回だった!
日本文化っていいねー、和歌最強!

もうこれに尽きます!

最終話の主役は、いままでずっとナビゲーター役を担ってきた藤原定家@梶裕貴さん。

彼がいわゆる小倉百人一首を選んだ人物なわけですが、
アニメでは、毎回アバンタイトルに登場。
「こんにちは(こんばんは)(おはようございます)、定家です」と、
あるときは道路工事の交通整理スタッフ、あるときはスカイツリー、あるときはバレリーナ(笑)、
あるときは新聞配達員に扮して、いっつも笑わせてくれてました♪
「アバンだけもっと見たい!」と思ったこともたびたびw

そんな定家がメインの最終話、とても期待していたのですが、期待以上にいいデキでした!
テンポもいいし、笑いも切なさも、最終回らしい「シメ」感もあって、
もっと見たい!という気持ちはもちろんあるけど・・・有終の美を飾ってくれてありがとう!と満足です。

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19歳の定家、あの時代だったら、
とっくに元服してとっくに一人前で結婚してこどもがいてもおかしくない・・・のに、
パパに「中学生みたいなこと言いおって」「どこかにあいつのやる気スイッチ落ちとらんかのぉ~」とか言われちゃうモラトリアムっ子ですw

「僕は歌人になんて絶対になりませんからね!」
 ↓
西行に会ってころっと「アウトローな歌人かっこいい!そんな歌人に僕はなりたい!」
 ↓
「でも父上のあとは継がないよ」
 ↓
式子内親王に会ってころっと、「僕は公家として王朝文化を伝えていく!」

などなど、言ってることがころころ変わるのが・・・かわいいというか笑えるというか(-^□^-)
そういう時期ってあるよねw

前半のパパ藤原俊成と定家のやりとりは、ほっんと笑いっぱなしですごく面白いのですが、
後半、式子(のりこ)内親王と、想像力を養うためと「ごっこ」の恋文を交わすようになってからは・・・
もう、切ない切ない。

「うた恋い。」って、この最終話にかぎらず、笑いと切なさのバランスがすごく良くて、
20分ちょっとによくこれだけ詰め込めるなぁと(だいたい)いつも感心してました。


前回(12話)の当子(まさこ)内親王と道雅の恋もすっごく切なかったけど、
あれで、「斎宮(式子様は斎院)をつとめた内親王との恋は叶わないものだ」という説明ができていたこともあって、
定家の恋も叶わない・・・と最初から分かってるのよね。

百人一首にとられた式子内親王の歌、

玉のをよ たえなばたえね なからへば 忍ぶることの よはりもぞする 
(式子内親王)

(この恋を忍ぶことにいつか耐えられなくなるくらいなら、私はいま消えてもかまわない)

それに対する定家の返歌、

思ふこと 空しき夢の なか空に たゆともたゆな つらき玉のを

(忍ぶことがつらくても、おもうことが虚しくても、どうかどうか消えてしまわないで)

ふたりの間では、「これはごっこ遊び」という建前で交わされている偽物の恋の歌という設定なのですね。
ほんとは、想う気持ちがあるのだけれど、表に出すことは叶わない・・・。

「どんなに心をこめて歌をおくっても、あなたの眼中に僕はない」と思っている定家が切ない。
でも結婚話が持ち上がったことをきかっけに、
ついに「ままごとじゃなくて、本当にあなたが好きなのに!いつまでこんな遊びを続けなければいけないのですか!」と迫ってしまいます。

式子様は、内親王という自分の立場、13歳年上ということ、大歌人の息子(跡取り)である定家の将来を思う気持ち・・・
そういうもろもろの事情で、定家の恋心を受け入れることはできないのだけど、
「もう来ません・・・」という定家を、「そんなこと言わないで・・・またいらして、歌を交わしましょう・・・」と引き止めずにはいられないのです。
ズルいしヒドイんだけど・・・(私が女だからかもしれないけど)こういうの分かる・・・!(iДi)

(式子様役の大原さやかさんがアフレコ感想 で、
「定家を引きとめる式子が、イヤな女にならないように気をつけました」とおっしゃっているけれど、
切ない想い、すごく伝わりました。)

定家も・・・「ひどい・・ひどい人だ・・・ひどい女に捕まった・・・」と思うんだけど、
その気持ちは、「やっぱりあなたが好きだ」ってことなんだよね。

実際、式子内親王と定家がどういう関係だったかは、
残された歌のやりとりや日記から「恋人だった可能性もある」と推察される程度らしいですが・・・、
1000年前にも、こんな切ない恋があったなんて・・・と、この話にかぎらず毎度毎度じーんとします。

ラスト、式子様が亡くなったあと、かわした文を燃やそうとする定家。
でも、式子様の「歌って・・・定家」ということばを思い出し、歌を伝えていく決意をします。

そして詠んだ歌。

来ぬ人を まつほの裏の 夕なぎに 焼くやもしおの 身もこがれつつ 
(権中納言定家)

(待ってもあなたは来ないけど、やっぱり私はいつまでもあなたを思い、胸をこがしています)

もうね、毎回・・・なんだけど、
百人一首の知ってる歌が、こういうふうにクライマックスで登場すると・・・「おおおおお!」って思うよね。

前にも書いたかもですが、私は中学生のときに百首覚えたんですよ。
でも(中学生だし)、歌の意味なんてぜんぜんわかってなかった。
この歌なんて、「もしおー」とか言って笑ってた覚えがあるもんw ごめん、定家。

今になって、こうやって切ない意味を知ると・・・やっぱり感動しちゃいますよね。

(※じつは式子様を思って詠んだ歌ではないみたいですが、「うた恋い。」らしい解釈で、いいと思うな!)

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ここからは完全に余談ですが・・・

1000年以上前から様々な想いをたったの31文字(もしくは17文字)に託して交わしていた日本の文化って、すごいですよね。
いっしょに「うた恋い。」を見て盛り上がってた同年代の友人とも話してたんですが
(「ちはやふる」を私に教えてくれた人)、
恋人や夫(妻)から、「歌」にして気持ちを送ってもらえるのって、とっても羨ましい!
しかも、「花に結んで」とか「香をたきしめて」とかなんだよ!ステキ!!

はぁ、ラブレターなんて、さいごにもらったのいつだろう・・・Oo。。( ̄¬ ̄*)

もとい、1000年前の恋歌が現代にも残っていて、その気持は今の私達でも十分共感できるって、
なんか、あらためてすごいことだなぁと思います。

それでもって、ことばの裏を読むとか、行間から感じとるとか・・・今でも(良くも悪くも)日本人の得意技だし、
昔から培われてきた日本人のメンタリティなんだなぁとも思います。
日本文化っていいなぁ~♪ 和歌(百人一首)、勉強しようかなぁ~。

そういえば(忘れてたのか!)、もともと私が「うた恋い。」を見始めたのは、
文屋康秀役の千葉進歩さんがお目当てだったのですが・・・けっきょく、4~6話だけの登場でしたね。
残念といえば残念でしたが、千葉さん抜きでも「うた恋い。」面白かったです!

5話以降の感想が書けてませんが・・・
とりあえず、最終話がとても良かったので、先に書いちゃいました!

来週からもうないなんて・・・楽しみが減っちゃったなぁ・・・(´□`。)