たて続けにいい作品を聴けて、すごく幸せ♪
BLCD 『水の記憶』 感想です!
ストーリー 9点 / 声 9点 / えちシーン 7点
(BLなんだけどひとつの「物語」として、とても聴き応えがあります。松野さんの演技がすばらしい。
水をイメージさせる音楽やSEがすごくいい!!
ストーリーのマイナス1点は、もうちょっとじっくり聴きたい!というワガママです)
如月東栄 : 千葉進歩
佐々木洸太 : 伊藤健太郎
伊藤さん×千葉さん
高遠炯 : 松野太紀
星野俊彦 : 神奈延年
神奈さん×松野さん
その他
2003年作品、剛しいらさん原作
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生活力皆無で美貌の精神科医・如月を千葉進歩さんが、
元患者で、10年ものあいだ如月を思い続けてた佐々木くんをイトケンさんが演じています。(年下攻め♪)
千葉さん、お医者さん役多いけど、この作品ほどちゃんと「先生」してるの初めて聴いたようなw
(他の作品は、あんまり医者の仕事をしてるシーンないですもんねw)
仕事熱心で患者思いで、プライベートでは天然でふんわりしてる如月先生は、進歩さんにはハマり役ですね!!
ふんわり、ほんわかな優しい感じ、天然っぽさ、にじみ出る色っぽさは、進歩さんならではと思います。
ほかの作品でも思いましたが、イトケンさんとの声のバランスもいいですね。
声だけで、ナイスカップル(古い?w)って感じが出てますもん
このCDドラマは、
「佐々木くんの10年ごしの片思いが、天然で恋愛にオクテな如月先生に届く」のと、
「2重人格の高校生、炯(ヒカリ)の、体育教師・星野への恋」のふたつを描いているんですが、
なにより、炯の多重人格が聴きどころなので・・・いわゆるBLの恋愛のドキドキを聴くって感じではないかも。
えちシーンも、佐々木×如月が1回だけ・・・かな?
でも、すごく聴きごたえのある「物語」に仕上がってるんですよね。
心の病って難しいトピックだし、BLだととくに「重いテーマ」はさらっと流しちゃう傾向があると思いますが、
この作品はそこもちゃんと描かれてて、しっかりしたストーリーが好きな私には、とてもよかったです。
佐々木が熱帯魚のショップに勤めていること、過去の水に関わるトラウマ、
如月が魚が好きで アロワナやクラゲが出てきたり・・・など、
全編とおして、水と魚が重要なモチーフになっています。
小説で読んでもきっとステキな作品なんだろうと思いますが、
バックに水槽のコポコポという水の音が流れてたり、
水の流れを感じさせる幻想的なBGMが使われていたり、
ボイスドラマだからこそ!の雰囲気づくりが素晴らしいです。
そして、こういうしっとりした雰囲気や水の音に、進歩さんの声がハマるんだよなぁ~♪
(ファンの欲目・・・じゃなくて欲耳?w)
+++
クライマックスで、
「フリース、いい色だね。こういう明るい色、とても似合ってるよ」 by 如月先生@進歩さん
「こんな・・・オレンジの服、ずっと欲しかったんだ。お母さんは、黒と、紺と、灰色しか買ってくれなかったからね」
by 炯(ヒカリ)@松野さん
「先生、星野を好きになったのはね、僕のほうだよ。分かってたんだ、ほんとうは」
「そうか」
というやりとり、なんか、ぐっときて・・・ちょっと涙出そうでした。
ってここだけ抜書きしても、なんだか分からないと思いますが・・・
松野さんの泣き演技のすばらしさ、進歩さんの声の優しさ、BGMのステキさで、
とてもいいシーンになっていると思います。
二つ人格がかわるがわる出てくる役は大変だったかもしれないですが、
ある程度以上のレベルの声優さんはそういう演じ分けはお手のもの!だと思うので、
それよりなにより、↑この「僕」人格の炯くんが、自分の本当の気持ちを認めて受け入れるシーンの、
やりすぎない松野さんの繊細な演技がとても素晴らしいと思いました。
しつこいけど、「買ってくれなかったからね」の語尾のトーンに、ほんとにぐっときましたよ。
私は、炯(ヒカリ)くんのようなシリアスな悩みをもったことはないですが、
なぜか、すごく「分かる」と思っちゃった・・・。
共感できたの、松野さんの名演のおかげだと思います。
神奈さんの星野先生も、声だけで「いかにも体育教師」という感じが出ててよかったです。
逃げないでちゃんと受け止めるとこがいいですね。
重いテーマゆえに暗いお話になりそうなところを、星野が受け入れることで救いがあって、よかった。
まあ、生徒(しかも同性!)に手を出しちゃうのはどうかと思うけど・・・(-_-メ
千葉さんとイトケンさんのからみは、天然ほんわか受けなのに進歩さんらしいw盛大な喘ぎで・・・、
1回のえちシーンながら、けっこう濃厚です(笑)
「私は注射がキライなんだ」という如月先生がかわいい。
始まりは「痛かったらごめんね」と優しい佐々木だけど、
ここまできたら止められないというとこまで進んだら、
「痛がってもやめないよ」と、引かない年下攻めらしいとこもステキ。
こういう感じ、イトケンさんの少年ぽさがある男らしい声がとてもハマりますね。
スイートなんだけど甘いだけじゃなくて、佐々木の情熱が伝わるのがよいです。
さいご、ふたりで喘ぎ合戦みたいになってるのが、
ここまでがけっこうリアルな流れなだけに、「男ってそんなに喘がないよね・・・」って感じもありますが(*v.v)。
(いえ、進歩さんの盛大な喘ぎは、大好物なんですけどもw)
終わったあとのいわゆるピロートークも、なんかこのふたりらしくて、いい感じです。
+++
この作品の聴きどころ・・・佐々木くんと炯(ヒカリ)くん、ふたつのストーリーがひとつに集約していく感じ、
すごくよくできてると思います。
どっちも無駄じゃないというか、佐々木が自分のトラウマを(完全にではないにしろ)乗り越えてることが、
炯くんの気持ちの移り変わりに説得力を与えてると思う。
そして、さいしょ、如月先生は、佐々木くんに押しかけられ、流されてえちまでしちゃった・・・という感じだったと思うけど、
炯くんを理解しようとすることで、佐々木くんや自分の気持ちにも気づいていったんだろうなぁ・・と感じられました。
うまいですね~!
(ただ、如月が佐々木くんを好きになってく過程、もうちょっっと描いてほしかったーー!)
なにはともあれ、最後にむけてわーーっと盛り上がっていくドキドキが堪能できました。
あと、「魂の同化」!すごい表現ですよね、これ。
でもイトケンさんの声質で言われると、白々しくないというか、なんか納得できるのが不思議。
心理学的な要素のあるお話ですしね。
+++
↓以下、ちょっと「残念」と思ったこと↓
欲を言えば・・・
さっきも書いたけど、
如月先生@進歩さんが、佐々木くん@イトケンさんを「愛してる」と思う過程をもうちょっと聴きたかった・・・!
さいしょのえっち、けっきょく佐々木を受け入れたのって、
元主治医(精神科医)としての治療の一種って感じだったんだろうし、
如月自身が「愛という概念がよくわからない」って思ってるんですよね。
「元患者で弟みたいに心配してしまう相手」から、「愛する相手」に変わっていくの、
もうちょっとがっつり描いてほしかった!
それに、佐々木の過去絡みのふたりのやりとりを、もっと聴きたかったなぁ~~。
「水の記憶」というタイトル、佐々木くんのトラウマのことだろうに、あんまり語られてなかったし・・・。
同居を始めたときに、如月先生が佐々木くんのことを
「ひとりでどうにもならないことがあると、さりげなく近づいてくる。今回もきっと・・・なにか隠している」って
語るシーンがあるんですが、それもあんまり触れられてない気が・・・。
ようは、佐々木くんのターン、原作より省かれてるんだろうなぁと感じちゃうんですよね。
(未読なので勝手な想像ですが)
イトケンさんの声&演技は役にハマってるし、如月と佐々木の関係もとても魅力的で気になるだけに・・・残念。
あと、やっぱりどうしても、教師である星野が、生徒(炯くん)の誘いにまんまと乗って手を出しちゃうのが・・・
(具体的なシーンはなく、炯のセリフというか手紙だけですが) ちょっと嫌悪感があるんですよねーーー。
「俺」の人格(第二の人格)のほうの炯くんが星野を語るまで、
星野先生に魅力をあんまり感じられなくて・・・。
語り手が変わると散漫になるので難しいんだろうけど、
星野が炯くんのことを本気で好きだと思うとこも、もっと聴きたかったな。
あとあと・・・クライマックス後の如月先生が天然すぎるのも、ちょっとなぁ・・・・と思いました。
これもおそらく、省かれちゃったせいなのでは。
「こんどの休みには釣りに行こう」っていう如月先生のセリフ、
佐々木くんのトラウマ(兄と友人を釣りにいった川で亡くしてる)に関係してるんだろうに。
きっと、これ、如月が佐々木の存在をいままで以上にちゃんと受け止めよう、という決意の現れなんじゃないかなぁ~と思うんですが、どうでしょうか。
そういう重みがあんまり伝わらなくて、ただの「空気よめない人」みたいになってますよね(・・;)
できあがったこの作品のままでもステキだとは思うのですが、
削られたであろうシーンが織り込まれてたらきっともっと良かっただろな、と感じられるだけに、
ちょっと残念です。
でも、ほんとに素晴らしい作品でした!
(よかっただけに「惜しい!」という気持ちが強いのです)
くらげの、「くー」と「らー」と「げー」で終わるのも、ほんわかしててよかった!
進歩さんのやさしい声、凛々しい声、天然さんのかわいい声がいろいろ聴けて、
ファンとしても聴き応えのある作品でした!
そういえば、さいしょのほうで、パジャマから着替える如月先生が、シャツのボタンを掛け違っちゃうとことか、
すっごいカワイかった~!ねぼけてる声なのでよけいに♪
「大人の天然さん」のカワイさ、さすが進歩さんって感じです!
あとしつこいけど、音楽もとっても印象的でよかったです!!
「是」と「百日の薔薇」と「同細胞生物。」とこの作品のサントラが欲しいなぁ~・・・。