日曜日にNHKスペシャルで発達障害のことを特集していましたね。

 

発達障害の人の声として、「普通にやれといわれるが、それが難しい、わからない」 といった声がありました。これは確かにその通りだと思います。

 

確かに普通であることが必ずしもいいとは限りません。

仕事や芸術などでは、普通じゃないからこそ、生まれる価値もあります。

 

ただ、特に日本においては、人間関係だけについていえば

「普通」にふるまうことが、求められているといえるでしょう。

 

 

しかし、普通がわからない。どうすればいいか。

栗原類が、家族や主治医の先生の助言をもらっている、頼っているといった話をしていました。

やはり信頼できる身近な人に、どう振舞うべきか、助言をしてもらうのが良いのかもしれません。

 

障害の程度や内容も人それぞれでしょうが、仮に相手の気持ちや情緒を理解したり推測することができなくても、相手からの助言の通りに行動していくことで、「うまくいくパターン」を学習することができるケースもあるのではないかと思います。

 

知的障害のないアスペルガー症候群であれば、うまくコミュニケーションが取れた条件と、コミュニケーションに失敗した条件を整理し、普遍的な点を統計的に見つけることはできるのではないかと思います。

 

相手の気持ちをくみ取る必要はありません。相手の気持ちが一切わからなくても、うまくコミュニケーションをとれる方法を知っており、それを確実に実行できれば、問題が起きる確率を各段に下げることができます。

 

そもそも、人間の気持ちというのはとても難しいもので、健常の人ですら相手の気持ちを理解するというのは、本当は不可能なのです。 相手の気持ちがわからない中で、経験から得たそのような「方法」を活用して、人間はコミュニケーションや仕事をしています。

自閉傾向のある方でも、そういう要領のよさで、不得意をカバーして問題なく生活している人も多いと思います(私自身、そのようなタイプだと思っています)

 

もちろん、発達の特性は人それぞれですので、そういった要領がない、苦手な人もいます。

そういう方は、まず助言通りに行動するのが良いと思っています。

そのうえで相手と関係性が構築できてから、相手の障害への理解や譲歩を求めていくのがスムーズと感じています。

 

 

だからこそ、発達障害の方と接する方、指導したり指示したりする方は

普通がわからない人に対して、あいまいでない具体的な指示をすること、それぞれのケースごとに細かく指示をしていくことが求められると思っています。

(根気は必要ですが・・・)

 

 

また、発達障害の当人は、自分の行動や思考パターンのこだわりを極力排除し、

まず助言の通りに行動してみることが必要と思います。

 

もちろん、発達障害の人はこだわりが強いので、自分のこだわりの行動パターンを簡単には変えられない、変えたくない という人もいるでしょう。

ここは本人の努力が必要です。 努力による効果(改善)と、努力によるストレスのバランスを見ながら、行動を少しずつ変えるチャレンジをすればよいと思います。

 

 

ちなみに、私のリアルの知人のアスペルガー症候群の方は、この考え方へのこだわりが非常に強いようです。

 

「YESマンになってはいけない」「自分の考えを持たなくてはいけない」 ということに対して、彼はこだわりが強いです。

「自分の考えを持て」というのは世間一般で常日頃言われることですし、大切なことです。

このこだわりは、彼の今までの人生の中で、親や教師やその他環境のなかで、しつけや教育として刷り込まれたものだろうと思います。(考える能力のある優秀な大人になるために、そういう教育は本来大事なことです)

 

ただ、先に書いた通り、アスペルガー症候群の方は、まずは健常の人の助言に従ってみる ということが重要と私は考えており、このような 「自分の考えを尊重する」 という思考パターンが大きな障壁となっていると感じています。

 

先に書いた通り、発達障害の方は、そういう自分の思考特性と、その思考特性ゆえに起きている障害・障壁を認識し、少しずつ改善させていくのが良いと思います。

また、発達障害の人を指導したり教育する場合は、「自主」「自立」という概念をどのように身につけさせるべきかを、健常者とは変えたほうが良いのかもしれません。

 

 

 

なお、アスペルガー症候群にかかわらず、例えば会社の新人は最初の数年は言われたとおりに仕事を行い、仕事のスキルや感覚を磨いていくものです。

 

もしかしたら 「普通」 というのは 「言われた通りやること」 なのかもしれません。

そして「(言われる可能性があることを)言われなくてもやること」が、暗黙的な「普通」として社会において形成されるのでしょう。

 

逆に言えば、だからこそ「普通」がわからない発達障害の人は、人が考え付かない・人が言いもしないような新しいアイデアや価値を生み出せる可能性がある ということになります。

 

 

ぜひ、普通の感覚を磨いていきましょう。