1、2週間前か、次女が高校の修学旅行に行く前日の出来事である。
次女は「カメラ係」に任命されたらしい。
重要な任務だ。
修学旅行の思い出が次女の腕にかかっている、ということである、でもないか。
私が帰宅すると間もなく、次女とその母が慌てだした。
尋常ではない。
私に関係なく騒いでいる両者の会話によると、以下の通りである。
1.カメラは母のを借りて行く。
2.記憶するカードは学校から貸与されたものを使うことになっている。
3.そのカードをカメラに挿入したところ、カメラが動かない、つまり壊れた。
「あ~なんで前日に壊れるのかしら~」
などと嘆く母親と次女を尻目に、長女は、
「当日に壊れなくてよかったじゃないかよ~」
「大体、写真なんかiPhoneで撮ればいいじゃん」
などと呟いている。
仕方ない。
両者は、私にはお構いなくわめきたて続けているが、私は次女に言った。
「事務所に戻って、父のカメラを持ってこようか?」
次女は言った。
「取ってきてくれるのかい?」
ああ。
カメラ係は重要な任務だからな。
しかし、私には一切構わず悲嘆に暮れ続けながら、私の申し出を待っていたような受け答え、お前、母親に似ているな...
事務所は歩いて5分もかからない。
簡単な事だ。
私は簡単な事を簡単にやった。
しかし、その後、より大きな事件が待ち受けていた。
<続く>