「SFって嫌いじゃないけど、CGバリバリ映像の迫力だけが見どころってのもね~…もう少し深みがほしい」というかたに! 大ヒットとまではいかないまでも割合と有名な作品ではありますので、ご覧になったかたも多いでしょうか。
『ガタカ』です!
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近未来。遺伝子工学が発展し、人間は受精段階において遺伝子操作を行われ、優秀な受精卵に選別されていた。そんな中、自然受胎で生まれてきたビンセント(イーサン・ホーク)は、生まれつき心臓疾患があり、寿命は30年と宣告される。やがてビンセントは宇宙飛行士を夢見るようになるが、それも劣性遺伝子のため叶わぬ夢。諦められないビンセントは、闇業者の手配で、事故のため身障者となった元エリート、ユージーン(ジュード・ロウ)と契約。ユージーンの遺伝子サンプルを使用し、ユージーンと偽って宇宙飛行士養成施設“ガタカ”に潜り込むことに成功する。しかし、そんなある日、ビンセントの正体を疑っていた上司が殺害され……。
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近未来の、遺伝子操作された社会。遺伝子のプロフィールがモノを言う差別社会。ヘタすればあり得なくもない未来のように感じるリアリティです。
そこに、イーサン・ホーク、ジュード・ロウ、そしてヒロインはユマ・サーマン。ユマ・サーマンやジュード・ロウは確かにどこか近未来的ですし、完成された美貌は優性を感じさせますよね。
揺るがぬ夢を持ちながら、生まれついた運命のために、決してそれにたどり着くことできない、大きな苦悩を抱えた人間味あるイーサンの存在が引き立ちます。その必死さと、追い詰められ揺れる心情が痛々しい。
殺人事件を捜査する若き刑事が主人公を追い詰めていくくだりも、ハラハラと驚きがあって効いています。
とはいえこの作品、ジュード・ロウの存在感が素晴らしいです! エリートとして生きてきた誇りと、不慮の事故によってすべてを失った挫折感、屈折。そして、中盤から徐々に明かされる、深い深い苦悩。衝撃のラストシーン。
サイエンス・フィクションとしての面白さもありながら、暗に完璧主義に疑問符をつきつけ、人間の傲慢さについて考えさせる作品。
画的には派手ではないのですが、とこかレトロフューチャーな雰囲気と、硬質でありながら奥行きのある映像が美しい。ちょっとキューブリックっぽい匂いもあってステキです。
どうぞお楽しみください!
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