ROLEX Csmograph Daytona 18k YG Combi 2 Tone Dial

Ref. 116523 / Cal. 4130

 

デイトナのステンレスモデルの価格がもの凄いことになっている

 

2018年4月現在、5桁モデルの16520(ゼニス社エル・プリメロ改)が中古で200~300万円、新品に至っては400万円オーバーと高騰している。新品当時の定価はたかだか60数万円だったのに。

 

6桁モデルでは、新作の116500LNが正規店価格1,274,000円に対し、並行輸入や中古屋の新品は軒並み200万円オーバー。

 

旧作の116520はと言えば、116500LNの発表時に一旦は正規店定価に戻ったのに、現在は150~250万円。

 

どうだろう、この高騰ぶり。

 

正規店で新品を購入できれば定価だが、正規店では、ほぼ年末ジャンボ宝くじの4等、いや3等100万円が当選するくらいの確率でしか買えない。いや、もっと高倍率か? 

 

日本の正規店は予約を受け付けないし(一部デパートの外商は別)、毎日毎日銀座の時計屋巡りを行っても買えることは奇跡に等しい。たまたま在庫が偶然有っても、店の人も相手を見て売っているフシがある。だって、買った日に中古屋に持ち込んで転売すれば確実に50万円以上は利益が出るのだから、転売屋に見える人には売りたくないと思うのであろう。

 

ただし、これはステンレスモデルに限った話。ロレゾール……いわゆる「コンビ」と呼ばれる904Lステンレススチールと18K YGを掛け合わせた16523/116523は、ほぼ定価を上限に、ただし中古でもさほど安くはならないというのが去年までの値動きだった。しかし116503が正規店価格1,749,600円に値上げされるや、高いものでは180万円を超えるようになってきた。

 

僕は、4桁モデルの手巻きの古いデイトナは別格として、5桁モデルより6桁モデルの方が、ムーブメントにもオイスターブレスにも大幅な改良が加わり、精度も質感も時計全体としての魅力も断然上だと思うのであるが、相場は真逆。

 

これは、普通に考えればアンティーク的価値ということになるのであろう。

 

例えばポルシェ911は、古い方から901(初代)/930/964/993(ここまで空冷)/996/997/991(現行)とある。901は骨董品的に高い。最新の991は中古も高いが、930やここへ来て964、更には最近まで不人気だった996の中古も価格が上昇してきている。この事情はデイトナと似ていると言える。

 

最良のポルシェは、最新のポルシェという諺(ことわざ)があるが、正にジャンルを問わず真面目に進化を追求するメーカーの製品は、最新の物が性能的にも総合満足度でも一番優れることは間違いない真実だと思う。

 

一般に中古車に限らず耐久消費財の中古品は、市場の人気が相場にダイレクトに反映する。

 

しかしどうも巷のロレックス屋の価格の上乗せを見ていると、ある意味で談合のように一律でプレミアム価格が横行している。そして、あるいはロレックス屋が広告主だからか、モノ雑誌もそれを煽る煽る。

 

メディアに感化された人は、「あーやっぱりデイトナはステンレスが良いんだ」という気分になって、高騰に拍車をかける。買う人がいるからその価格なのだろうが、どうにも腹が立つのである。

 

 

素材と価格の考察

 

ゴールドは、人類史上で発見された最も高貴とされるのプレシャスメタルである。時計におけるゴールドは、強度を出すため他の金属で割金されている事が多い。

 

銅の割合が多い18K YG(イエローゴールド)、それにパラジウムを怖得たPG(ピンクゴールド)、パラジウムの配合が多いWG(ホワイトゴールド)。

 

そのYGがベゼルやブレスの駒の一部に使われているロレゾールのモデルより、単なるステンレスモデルの方が高額であり、18K YG/WG無垢のモデルにさえ肉薄している。この事実をどう捉えるべきか。

 

結局デイトナは、ステンレスか、ロレゾールか、あるいは!18Kの無、どれを選べばよいのか。

 

過去に、モノ雑誌『G』を発行するT書店の編集者とこの議論をしたことがある。

 

彼の意見は、「必ずしも貴金属の価値にとらわれず、自分の審美眼で選べば良い。素材として金より価値の落ちるステンレスモデルを選ぶ方が、デイトナの本質を知っている”通”なのではないか」というものであった。

 

前半は御意、深く同意したい。しかし、後半はどうだろうか。

 

僕は素材に関しては、最後は価格ではなく、好みで選ぶべきなのかなと思う。

 

ファッションセンスとして、ステンレスの方がカジュアルには似合うという意見がある。ロレゾールは、派手で成金ぽいという意見もある。

 

しかし見てくれの色味の問題なのであれば、むしろステンレスと同じに見える18K WG(ホワイトゴールド)無垢の方が値頃感がある現在の価格推移なのである。ロレゾールや金無垢であっても、それなりの人間が身に付ければ、成金っぽい印象もない。

 

 

僕の選択・・・

 

買ったのは、ロレゾール(18K YGコンビ)の通称パンダダイヤル。ラメを散らしたような特徴的なホワイトのダイヤルに、ブラックの3つ目スモールカウンター。目玉は繊細なゴールドで縁取られ、内側には赤いラインが引かれている。さらに立体的なアラビア数字が華を添える。

 

時計はダイヤルに惚れて購入することも多いが、正にこれはその一本。ダイヤルを見て、即「欲しい」と思った。

 

 

 

5桁モデルまでのオイスターブレスは中空の駒(これが今までのロレックスがいまひとつ高級感に欠けていると思っていた最大の理由)であったが、6桁モデルでは無垢になり重量感と硬質感、装着感が飛躍的に向上した。さらにこのパンダダイヤルが発表された頃からは、クラスプにも改良が加わり完全無欠となった。装着時にパチンとはめる時の感触だけでも所有する価値があると思っている。酒を飲んで身体がむくんだ翌日にはワンタッチで駒を伸ばす便利なエクステンション機構も付いている。

 

パンダのダイヤルと無垢のオイスターブレス。この2つのポイントで、僕は躊躇なくこのデイトナに散財した。ブライトリングに120万円出すのとは訳が違う。実際に所有すると、そのリファインされた使い勝手、質感に何の不満もない。ひょっとして、もし今後一本しか時計を持てないとしたら、この時計を残すかと思うくらい気に入っている。

 

気に入っているからこそ、、、後期モデルとして改良が加わり、インデックスの夜光がルミノバ(緑色)からクロマライト(水色)に、パラクロムヒゲゼンマイに改良が加わり精度が上がったとアナウンスがあった時、同じ時計の買い換えを考えた。

 

実際に買い替えをするのには多少の検討期間を要したが、それでもブライトリングに120万円出すよりは、即断に近かったのである。病膏肓に入る。。。

 

しかしデイトナの強みは人気と換金性の高さにあるので、ほとんど値下がりすること無く、古い方を売却ができたのが幸いだった。

 

 

このパンダダイヤル。116503にモデルチェンジした際に、ラインから落とされてしまった。それはそれで、この時計を末永く愛せるモチベーションになり得ると思っている。

 

この時計は僕にとって5回目のデイトナ購入になる。手巻きモデルは永久所蔵品であるとして、前述の前期型6桁モデルのパンダダイヤルと、5桁モデル時代に購入したロレゾールの白ダイヤルは既に売却済みである。

 

このテーマ。もしかすると単に僕が、ゴールド好きだから、という本質があるのかも知れない。事実、iPhoneやiPadもゴールドを買い続けている。

 

しかし、購入を検討している方には、素材と価格についてメディアや店舗の情報を遮断したところで、もう一度熟慮してみることをお勧めしたいのである。