産経新聞に掲載されたユニクロの柳井社長とのインタビューが非常に面白いです。
http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/0910/06/news053.html
「良い服とは? 」という質問に対して、下記のようにコメント。
「服にはさまざまな要素があってファッションはその中の一つにすぎない。大半のメーカーはファッションがすべてだと考えているが、そういうことに興味のある人はごく一部の人にすぎない。大半の人は服に興味もないし、忙しくて時間もない。だから、着心地とか品質とか、流行以外の要素もとても大事です。」
ユニクロが普段ファッションに力を注がない人もターゲットにベーシックをコンセプトに製品を作る。ある意味、おしゃれの入門的な位置付け。そこから何割かの人たちがファッションに興味を持ち、ZaraやH&Mといったファストファッションに向かう。同じファストファッションというカテゴリーに位置していても基本的な価格帯やコンセプトが異なるため、客観的に見れば各ブランド間で顧客の取り合い合戦というよりも、消費者の願望を満たすだけのすみ分けが出来ていると言えます。
別の視点から見ると、過去には消費者のさらなる願望の終着駅としてハイブランドがあったわけですが、このところ落ち込みが激しい。その要因として、景気後退といったあらるる要素があれど、ファストファッションブランドの充実によるところも大きいと思います。昔であれば、「このバック、XX(ハイブランド)のパクリだよね」と敬遠されていた製品が今では、「XX(ハイブランド)と似たバッグ、安いしこっちでいいか」という消費行動が増えてきているのでは? つまり、品質やブランド力に圧倒的な差があれど、消費者の願望がハイブランドに届く前に十分に満たされるだけの企業が出そろっているということです。企業としては好ましくない傾向ですが、ハイブランドを所持しなくても自己実現できる風潮の広がりは歓迎すべきかもしれませんね。
この見方の結論として百貨店業界の動向について述べると、中・高価格帯製品を維持してきた百貨店などが低価格のPBの開発・販売に乗り出してきています。これによって売り上げが持ち直したとしても、これまで述べてきたように消費者がハイブランド製品に手を出さない要因に自らなってしまうということにもなりかねない。低価格帯のPBは百貨店業界にとって業績改善の突破口となると目されているようですが、二度と中・高価格帯製品を扱う百貨店に戻ることができない道に踏み出しつつあるともいえます。これまで書いてきたことを大きな声で主張するだけの根拠は提示できませんが、この見方から銀座の街で何が起きるかを考えると街の変容を見続けるのは興味深いことですね。
現時点で取りうる打開策としては、百貨店自体を自己完結できる商業施設に再び蘇らせることです。言うまでもなく、どこでも当然のように注力していることではあります。結局一つの施設の中で、安いものから高いものまで他店に行かなくてもショッピングが完結できる環境を醸成することで、ファストファッション的位置づけの商品から果てはハイブランドへの購買を促せる導線を仕込む必要があります。百貨店はどこも一緒と見なされるのを見過ごさず、独自のアイデンティティーを広めていくために、まずやらなくてはならないことは、昭和も平成も変わらないですよね。
各企業が消費者からどのような枕詞を付けれれたいのか議論していくと面白いですね。