最後の最後でたいへんあわただしい更新となりました。このブログ、気分のムラにあわせて更新のペースは大きく変動しましたが、いよいよ最後のエントリーです。


・で、MBAっていったいなんだったのか。


私にとっては、MBA課程の2年間はとても多面的な経験で、ほかの人にエッセンスをわかりやすく説明する、というのは簡単ではありません。しかしながら、一つ一つの経験を、似たようなものをまとめてグループを作ったとしたら、おおむね3つのグループができるような気がします。


一つ目は、金融ビジネスに必要とされる詳細な知識の修得です。授業では、経営全般に必要となる基礎科目13科目のほかには、企業価値評価に関するもの2科目、会計処理・税制・法令に関するもの4科目、金融商品のプライシングに関するもの3科目を履修しました。通算で上位20%の成績となり表彰も受けたので、習ったことは相応に身についたと思います。その結果、これまでの業務で知識が不十分なために十分なアウトプットを作れなかった分野について、知識の補強ができ、また、将来の変化に対応する応用力を身につけることができたと感じています。


二つ目は、ビジネス全般の遂行にかかる機微の修得です。授業や課外活動を通じて、リーダーシップ、チームワークがどのように生まれるか、プロジェクトマネジメントをどのように行うべきかを探ることができたと思っています。その結果、リーダーの役割、チームワークの育成、プロジェクトマネジメントの実施にかかる理解は、以前より確実に進みました。


三つ目は、まったく新しい体験を多く経験できたことです。たとえば、海外生活、その間の多くの旅行、趣味の活動を通じて、日本で働いていたのでは得られない、多くの貴重な体験を得ることができました。人生を彩るような多くの経験が、そのままその人間の魅力につながるとすれば、この2年間の経験は、間違いなく自分自身の人間としての魅力を向上させるものであったと思います。


・語学力?


留学というと語学力の向上が大きな目的といわれることもあります。確かに、英語によるコミュニケーション能力は確実に上達しました。以前はそれほど得意でなかったスピーキングについては、発音が改善し、時制を気にしながら分かりやすい英語を話すことができるようになりました。リーディング、ライティング、リスニングについても、以前よりも上達したように感じています。しかしながら、上にあげた三つのグループに比べたら、はるかに小さな要素でしかないような気がしています。


・これから


最後の期末試験後の連日のパーティ、卒業式、そしてあわただしい荷造りをすませ日本に戻ってきた私は、1年前に日本に一時帰国したときと同様に、急速に日本に適応していく自分を実感しています。


2年前、「MBA課程を通じて、何かを決める上での選択の基準を明らかにしたい」ということを書いたことがありました。2年間で間違いなく自分自身についての理解は進みましたが、「今後の人生で毎回使える絶対的なものさし」を得るにはいたりませんでした。


むしろ、この2年間は、選択肢を選ぶ上での制約を減らすものだった、と考えたほうがいいのかもしれません。チャンスをつかもうとするとき、準備不足では十分な成果をあげることができません。自分の興味にしたがってやりたいことを徹底的にやった2年間、この間に学んだことは、自分にとっての次のチャンスに間違いなく役に立つものになりそうです。


MBAというミッションは終わりました。来たるべき挑戦に向けて、これからも準備を進めていきたいと思います。


(乱筆乱文にもかかわらず、ここまでお読みいただいた皆様、どうもありがとうございました。)


ニューヨークの片隅にて ~ MBA留学記