海を渡る鳥が
一枚の木片だけくわえて

疲れたらそれを海に浮かべ
その上で休み

そしてまたくわえて飛び続ける…



そういう物語を
読んだことがあります



私は昔から
荷物一つ持って
色々なところに旅をする生き方に
憧れていました



何を隠そう

今のように日常にキャスター付きバッグを
使う人が全くいなくて
パイロットやパーサーの方くらいしか
使っているのを見かけなかった時代に


中に辞書やら楽譜を一式入れて
ゴロゴロ引いて
大学院に通って

その頃の私は
そのまま旅に出て行きたい…

そんな気分だった様な気がします


そういえばその当時
廊下で某教授が
そんな私を呼び止めて

曰く

「これはいい考えだ!
重いものを持つときに
よっこらしょ、とすると
声帯に負担がかかるけど
これならかからないからね!」


そしてその翌週には
先生ご自身も
もっとスマートなキャスターバッグを
お使いになってましたっけ…♪




話は逸れましたが


身一つでどこかへ行けて
何か出来る
というのは
とても憧れのスタイルでした



歌手は
身体さえあれば
どこででも
仕事になる



最近そう気づかせて
貰えることがあり
懐かしく色々なことを思い出します



さて
今の私ときたら
どうでしょう

今のご時世
防災のことや
喉を守るためのあれこれ

なぜか私の荷物は
重くなるばかり…


こうして拠りどころが増えることが
歳を重ねるということなのか


だとすれば

また少し
荷物を軽くして


広い海原に
飛び立ってみたいような…



なんて







ciz.