今回はモビリティ(可動性)と対を為すと考えられている〝Stability(スタビリティ)〟について考え方を深めましょう。
スタビリティと聞くと、
一般的に考えられがちなのが
〝固める〟といった考えです。
故に
『スタビリティのエクササイズは一切体を動かしてはいけない』
『ジョイント・バイ・ジョイントセオリーで考えると、股関節はモビリティ関節だから動いていいけど、膝はスタビリティ関節だから動いちゃダメ!』
というように解釈してしまうと
エクササイズによって逆に体に悪影響が出たりします。
例えば〝プランク〟です。
代表的なスタビリティエクササイズは?と聞かれると高確率で浮上してきますよね。
このプランクですが、
スタビリティ=〝固める〟という概念の下だと
後頭部から胸椎、仙骨までが一直線の状態を一切の体のブレがなく固め続けるのが正解となります。
つまりプランクに不要な部位まで筋出力をして姿勢を保ってもOKとみなしてしまうことに繋がります。
これにより多くのクライアントは、
不必要な筋出力を行う体の使い方(力みグセ)がついてしまう可能性が非常に高くなってしまいます。
そうなると、
トレーナーが
『日常生活で役に立つように姿勢維持筋を鍛えている』という狙いがあったとしても、
逆に
『日常生活で疲れやすい体の使い方を練習させている』ということになってしまいます。
ということなので、結論からお伝えすると
スタビリティ= 固める ではない。
ということです。
では、スタビリティとは何か??
スタビリティとは〝制御する〟といった解釈が適当です。
つまりどういうことか??
制御とは?(エクササイズの観点から)
→ 動作遂行に必要な分だけ出力をすること
実例を出して解説すると、
先程の『プランク』
プランクで獲得したい能力というのは
〝良質な腹圧を維持したまま後頭部〜仙骨を一直線に保つために必要な筋群を同時に収縮させること〟
これはスクワットや
セッションの後半に行うストレングストレーニングのための布石です。
つまりプランク動作を行うために不要な筋出力は要らないということです。
そのためプランクエクササイズ中に肩がすくんで前腕までガチガチに筋出力している状態はすでに
〝制御できていない〟という解釈になります。
ジョイント・バイ・ジョイントセオリーに関してもスタビリティジョイントの代表例である膝においても屈曲・伸展に加え、若干の内旋・外旋作用はあるわけです。
内旋外旋作用があるから歩行動作が可能となっている訳です。
問題なのは、必要な関節可動域をオーバーしてしまうことであり、動いてしまうことがNGではありません。
※もちろん一切動きを出させないエクササイズもありますが
くどいようですが、
スタビリティとは固めるではなく、
〝制御する〟
この考え方をもってエクササイズ指導ができると、新しい気づきが得られるはずです。
今回は概念的な話なのでなかなか理解するのが難しいかもしれませんが、非常に大切なところでありますので、熟考してみてください。