寝心地が悪く洗面所で汗びっしょりの服を脱いでいた正男はふいに背後にゾクリとした視線を感じた。おそるおそる振り向くとそこには白い壁に浮き上がって青あざのように広がった無数の沢山の顔だった。エレベーターの時の恐怖が一気に蘇り目の前が真っ暗になりそうになった正男だったが、すぐ横の大鏡に視線をうつした時、さらに血の気が凍るような光景があった。 


 正男の背中には巨大な人の顔のようなシミがうごめいていたからだ。とめどなく流れでる汗に、日焼け以上の熱の塊のような熱さが震える体感から伝わってきた!両腕にも小さな恨めしそうな顔があったがみるみる中心の巨大な顔に吸い寄せられるように、一体化していった。取りつかれてしまったのか!? 


 そして、肥大化したその巨大な顔はきっと、沢山の人の魂の集まった集合体なのかもしれないと正男は硬直しながらも冷静に思った。 


 耳を澄ますと背中の方からエレベーターの時に聞いた悲鳴と似た沢山の人達の同じ声が響いてくるようだった。