忙しい現代において親戚が一堂に会する機会はめったにありません。これまで長年にわたって鎌倉市常盤のO様の邸宅で毎年5月に集まりを主催していただきました。今回、私の母が食事会を行うことを提案し、平成12年11月23日に鎌倉の浅羽屋で集うことに決めました。この集いは、昭和63年11月30日に亡くなった父綿貫達治の命日の1週間前にあたります。古い写真を取り出してみますと、3代前の綿貫正雄は几帳面に写真の裏に撮影の年月日、氏名、年齢を記録しておりました。意味がわからなくなった写真がある中で、正雄の記録したものは現在でも意味を知ることができます。現在親戚が当たり前に知っている記憶でも、50年後、100年後には、時の経つにつれて雲散霧消してしまいます。実際3代くらい前に一緒に写真に写っている親戚も、当時の人にはわかっていても、私の代では氏名すらわからない人もいます。また古い写真は、今後風化したり破損したりする恐れがあります。CD-ROM自体は破損しても、内容であるディジタルデータは劣化することなく永久に継承することができます。今回、写真の一部をイメージスキャナでコンピュータに取り込んで保存いたしました。ちょうど親戚の皆様が集まりますので、CD-ROMによる電子出版の形態で親戚の方々にもコピーを配布することにいたしました。綿貫正雄が明治35年頃から残した写真や文書を、理明が約100年後にディジタルで再記録したように、また100年後誰か子孫の中にこの記録を見直してくれる人が出てくることを願いつつ。(平成12年11月吉日)        作者   服部元治の思ひ出
 
少子化に伴い、お墓を守るのは私の代で終わろうとしています。これを機会に、ささやかな先祖の記録を、物理的実世界からサイバー世界への移行を考えました。
(*2012年9月11日、CD-ROMからウェブ上のサイバー世界へ保存)