先日。
いつものように早朝犬の散歩に出かけ、戻ってくる途中。
坂道の先に、なにか犬のようなものが横たわっている。
何だろうと近づくと、なんと、タヌキの死骸であった。
車にはねられたらしい。
外傷らしいものはなかったが、内臓がやられたらしく口と鼻から大量の出血をしていた。
どうしようかと思ったが、犬連れだったので、一旦帰宅した。
しかし、あのままでは多分また車に轢かれてしまうだろう。
動物の死骸を片付けたがる人はあまりいないだろうな、と思い、段ボール箱を探し出し、それを持って、坂道に戻っていく。
早起きのお年寄りが数名、タヌキを囲んでいた。
「タヌキだよ」「かわいそうだねぇ」
私が近づいて、「気の毒なので、うちに運んで、区役所に連絡して引き取ってもらいます」といって、タヌキの四肢を掴んで持ち上げた。
死んだばかりでぐにゃりとして、なかなか重い。
毛艶もよくて健康体なタヌキだ。
お年寄りたちは「重くない? 運ぶのてつだいましょうか?」「まあ、ありがとうねぇ」などと、気遣ってくれた。
私は生き物をたくさん飼って看取ってきたので、死骸に触れることには全然平気なのである。
自宅の車庫に段ボールを置いて、区に連絡したら、引き取りにきてくれるという。
うちは都会のど真ん中にあるが、近所は閑静な住宅街で、学校もお寺も大きな庭持ちの家もあり、タヌキが住み着くには良い環境だったのかもしれない。
私も、死骸とはいえタヌキに触れるのは初めてのことだった。
タヌキの番いは死ぬまで同じペアで一緒だという。
このタヌキがオスメスかはわからなかったが、冬は番う時期なので、相方がいたとしたらかわいそうなことだったな。
外来種のハクビシンやアライグマが都会に跋扈している昨今、純粋な日本のタヌキ、がんばれ、と思う。
タヌキの死骸は、その日のうちに役所の人が引き取っていった。
写真は、顔の周りの出血は修正して綺麗な顔にした。
年始年末、休み無しで平常運転で仕事である。
自由業は不自由業なのだ。