豪徳寺、招き猫 | 渡辺やよいの楽園

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小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。

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 今年こそは、商売繁盛祈願に都内の大酉様に参ろうと思っていたのに、忙しさに行きそびれてしまった。
 どこか商売繁盛祈願のお寺さんに詣でようと考えたら、灯台下暗し、ご近所の豪徳寺が、商売繁盛のお寺さんではないか。
 さっそく自転車で出かけていく。
 綺麗な庭園は紅葉が美しい。

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 豪徳寺と言えば、招き猫のご本尊。
 その昔、貧乏寺だった豪徳寺の飼い猫が、雨宿りを探していた門前のお殿様を招き入れて、接待されたお殿様がたいそう喜び菩提寺にし、それ以来お寺は栄えたという逸話。お殿様とは、桜田門外の変で有名な井伊直弼である。お寺には井伊直弼のお墓があるのだ。

 丁重にお参りして、商売繁盛のお札もいただき、さて帰ろうとすると、まるで逸話どおりのように、お寺の門前には幸運を引き寄せるという鍵しっぽの三毛猫がたたずんでいる。


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 連れてきた娘と一緒に、ぷくぷくしたその三毛猫を撫でて、来年の我が家のご利益を願うのである。

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