猫を探しています、迷子猫、チラシ | 渡辺やよいの楽園

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小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。

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 以前、我が家の猫虎が自宅から行方不明になり、必死で捜索して3週間後に無事保護したいきさつがあった。

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 チラシを作り、あちこちにポスティングしたり近所のおうちに頼んで家の前に貼らせていただいたりして、情報を集めた。

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 結局自宅近くに潜んでいると判明し、猫捕獲器を仕掛けて、とうとう確保したのだ。


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 猛暑のおり、3週間も飲まず食わずで、がりがりに痩せてはいたが、元気であった。

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 で、また我が家の猫が行方不明になった、というわけではなく。。。


 先月のある日の夕方。
 見知らぬご婦人二人が我が家を訪ねてこられた。
 何事かと話を聞くと、そこのおうちの飼い猫が、うっかり外に出てしまい、行方不明であるということ。
 以前、我が家の猫が行方不明になり、無事確保したいきさつを、どこからか聞いて来たらしく、なにか助言がいただければ、とおいでになったという。
 その時には、まだ行方不明になって1日目だったが、飼い主の奥さんの憔悴ぶりはほんとうにお気の毒なくらいであった。
 私は過去2回飼い猫が外で行方不明になったという誇れない経験値から、出来るだけのアドバイスをさしあげた。

 外にうっかり出てしまった室内猫は、たいてい遠くにはいかない。
 近所に潜んでいる可能性が大きい。
 自宅からせいぜい半径300メートル以内に潜んでいる率が高い。
 ひとさまの軒下やお庭やガレージに隠れていることが多い。
 チラシを作って電柱に貼ったりあちこち近所のおうちに頼んでポスティングさせてもらい、情報を集 めるのが有効。
 潜んでいる場所さえ分かれば、確保は必ず出来る。捕獲器は有効。
 最初の一週間は表に出て来ない可能性が大きいが、その後、そろそろと姿を表す事が多い。
 猫は意外に丈夫で、飲まず食わずでもひと月くらいは大丈夫、その間に、捜索する。

 など。

  必ず見つかると、ご婦人たちを励ました。

  翌日、早速猫をさがしているというチラシがあちこちに貼られていた。
  私も気にしながら毎日、近所を歩いていた。
 
  チラシは何度も新しいものに張り替えられていた。
  チラシが貼られているうちは、未発見だということで、気になっていたが相手の方につまらない電話で気をもませるのは悪くて、おうかがいの電話は控えていた。
  
 我が家にご婦人たちが訪れて半月、私はがまんできずとうとう先様に電話してしまった。
 電話に出た奥さんの声は力なく、猫はまだ見つからないという。
「夫は、もうどこかにお宅で飼われて無事すごしているんだろう、と言うんですよ」と、奥さん。
 私は、奥さんを励まそうとそう言った旦那さんの気持ちも分からないではないが、ぜったいそんなことはない、と思った。もともと人見知りが激しく気の弱い猫だというので、必ず近所に潜んでいるはずだと、とにかくひと月は諦めず捜索し続けてください、と話した。

 そして、我が家来訪から3週間後。
 
 早朝、近所のチラシが剥がされている。
 あ、もしや、と思っていた夕方。
 チャイムが鳴り、玄関にくだんの奥さんが現れた。
 キャリーケースを下げている。
「昨夜、そこのおうちのガレージの車の下に潜んでいるという情報があって、捜したら確かにうちの猫で、捕獲器をしかけましたら、無事保護できました!いろいろありがとうございました」
 と、下げているキャリーケースには、元気そうな猫さんが入っていた。
 わざわざ猫さんを連れてお礼に来て下さったのだ。
「ほんとうによかった!」と、私もうれしくて奥さんと手をとりあって喜んだ。
「一キロも痩せてしまっていましたが、健康に問題はなかったです、猫って意外に丈夫なんですね」
 と、奥さん。
「そうですよ、あきらめずに捜されて、よかったよかった!」

 翌日。

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 そこのお家の前には、うれしいチラシが。

「無事保護しました!」

 最近、一番うれしかった出来事だ。