銭湯 | 渡辺やよいの楽園

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小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。

子犬

 牛太郎、まだ、耳立たず。

昨日、子どもたちにねだられて、近所の銭湯に出かけた。
ふろ
銭湯……何十年ぶりだろう。
かつては、町ごとにかならずあった銭湯、ここらは、学生街のため、まだ生き残っていたのだ。
ああ、木の下足札!
つるつるに磨き上げられた木のすのこ。
ふろ

番台の気難しそうなおじいさん。
銭湯の中は、意外?に明るくきれいだった。
そして、意外にも、結構な人たちが入浴していた。やはりご年配が多かったが。
壁には、お約束の富士山の絵。
広くてあついお湯につかる醍醐味。
おばあさんが、娘に「このボタンを押すと、泡が出てくるわよ」などと、気さくに話しかける。
うっかりシャンプーなど忘れてしまい、使い切りのチューブ入りの30円のシャンプーも、また、楽し。

そもそも温泉好きな子どもたちは、銭湯がすっかりきにいったようだ。
湯上がりに、ヤクルトを一本づつ。
外は、すっかり冬の寒さだが、芯からあったまった体は、自転車を飛ばしても、ぽかぽかのままだ。

住宅街にひっそりと生き残る銭湯。
「また来ようね」