万歩計 | 渡辺やよいの楽園

渡辺やよいの楽園

小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。

 昨日の歩数。
 どわー。2万歩越えてるよ。歩きすぎだっちゅうに。
 しかし、夕方、夫の誕生祝いで家族でまぐろのうまい寿司屋に繰り出し、たらふく飲んで食べたので元の木阿弥だ。とほほ。ここでカロリー計算して、カロリーメイトでも食べて調整すればいいのだろうけど。カロリーメイト、まずいとは思わないがうまくもなし、食事の代わりにしたい代物ではない。修羅場の漫画家はこれでしのぐ人もいるらしいが、15分あれば何かしらご飯は作れる、その15分を惜しむほどの仕事など、もう、今の私はしない。豊かな食事が、いかに今の人生に大事か、気がついたからだ。命を削るような、そういう仕事は、30代までだ。40代に入り、しっかり癌にもなりました。独り者ならまた、ぱーっと花を咲かせ散る覚悟もできるのだが、今は、命を惜しむ。愛しい家族がいる今は、いじましく命を惜しむのだ。
 そんな覚悟では、いい作品などできない、と、言われれば、それまでだ。
 1日の食事や家族に費やす時間をさっ引いた、残された時間を仕事に打ち込むしかない、それはある意味、限られた燃やしつくす時間だ。
 無頼でないといい作品は書けない、というのは男の論理で、女は違うと思う。 
 結婚して子供を11人(うち、双子もいた!ちなみにこの双子は森鴎外に命名してもらってるんだよね、「聟きませ一人は山の八峰こえ一人は川の七瀬わたりて」うー、かっこええうらやましい。て、単に私が森鴎外好きなだけだけど)もうけ、夫鉄幹を家計を支えやみくもに作品を書いた与謝野晶子は、
「赤ん坊を抱きながら、背負しながら、台所で煮物をしながら、病気の床で仰向きながら…黙って泣きたくなり、またいらいらと独り腹立しい気分になりながら」、作品を書き続けた。いや、こういうものすごい女性を引き合いに出すのは申し訳ないが、女はこれで行こうこれができる、と、思う。