萩生田文科相は8日,教員の給与体系について見直しを検討することを明らかにしたそうです。新型コロナウイルス感染拡大を機に,教員の負担が高まっていることから,教員を志す人が減らないようにするためだそうです。まあ,景気が大打撃を受けた現状では,労働環境はともあれ,公務員自体の労働供給は増えると考えられるので,教員採用試験の倍率も上がるでしょう。若干違和感はある理由ですが,ともあれ見直し自体は行わなければいけないと思います。以下,読んでみてください。

 

そもそも教員の給与は現状どうなっているのでしょうか。一般の公務員と比べて高いのでしょうか,低いのでしょうか。

教員の給与は都道府県から支払われます。一般の都道府県の行政職の公務員よりも教員の給与は(一応)高く設定されています。

 

ではどれくらい高いのでしょうか。それは一般的な公務員の4%です。例えば,大卒の初任給が21万円くらいなので4%と言ったら8000円ちょっとです。これは「教員給与特別措置法」という法律で定められています。しかし,この特別手当がある代わりに,残業代は支給されません。現状,過労死ラインと言われる月80時間以上の残業をしている教員もいます。この法律は1971年に公布されたものです。公布された当初は,教員の残業はこれほど多くなかったと思います。にもかかわらず,これが今まで変更されていないなんて驚きです。労働時間が多くなってきた今でさえ,同じ割合しか手当が出ないなんて明らかにおかしいですよね。

 

しかし,2019年12月に,この法律の改正が行われました。そこでは主に,変形労働時間制を柱として,月残業時間の上限を45時間とすることが盛り込まれています。ちなみに変形労働時間制とは,例えば新学期などの忙しい時には残業を増やし,夏休みなどの忙しくない時期にまとめて休みを取るなどをすることができるようになることです。静岡県ではフレックスタイム制を導入するということも言われていて,このシステムはとても画期的だと思います。この改正給特法は2021年から施行されます。この改正によって教員の労働環境が改善されるといいのですが…。

 

教員の今の状況では,教員離れが起こってもおかしくありません。多くの人が目指す職業であるからこそ,教育の質も上がっていきます。現在の教員の人たちが納得した環境で働けるようにすることはもちろん,日本の教育のレベルを上げていくためにも労働環境の改善は不可欠であると言えます。

 

#教員の給与 #給特法