日曜。



目が覚めると、お向かいのお宅の窓から漏れるテレビの音が、僕の部屋にまで届いていた。

聞き覚えのあるテーマソング。



笑点。



1966年より放送が開始され、放送回数も2200回を越える人気長寿番組。

もはや、日曜日の夕方の代名詞でもある笑点は・・・



・・・ん?



・・・笑点?



・・・夕方!?



あわてて枕元の時計を見る。

時計の針は5時35分を指していた。



寝坊!?

てか、寝すぎ!



前の晩、床に入ったのは午前2時。

で、目覚めたのは午後5時35分。

なんと15時間半もの睡眠。

恐らく、人生最長であろう睡眠時間。



そんなことはさておき、その日の待ち合わせ時間は午後3時。

すでに2時間半の遅刻。

大あわてで携帯を探す。

寝ぼけ半分のため、なかなか見つからない。



そんな一刻を争う僕の状況を尻目に、ほのぼのと面白やりとりをし、大爆笑を取り続ける笑点メンバー。

腹が立って仕方がない。

笑点メンバー及び、観覧客全員を座布団でボコボコにしてやりたい、という衝動にかられる。



と、携帯見つかる。

急いで開く。



着信ナシ。

メールもナシ。



2時間半も遅刻をしている男に、なぜ電話もメールもよこさない!

さらに腹が立つ。

待ち合わせ相手すらも座布団でボコボコにしてやりたい、と憤慨する。



それよりなにより、俺はなぜ15時間半も寝ているのだ!

目もだいぶ覚めてきて、ようやく自分の愚かさを思い知る。

結局、腹が立つ。

誰か、俺を座布団で殴り殺してくれ、と怒り狂う。





と、ここでふと気付く。





携帯の画面に表示されている時間は



『05:40』



僕の携帯、午後5時40分を示す場合



『17:40』



と表示されるはず。



一気に目が覚める。



現在

午後5時40分

ではなく

午前5時40分。

夕方ではなく朝方。

寝坊どころか超早起き。

遅刻など一切していない。

ただの空回りの空怒りだった。



とりあえず、一安心。



ならば、お向かいから聞こえる笑点は?



よく聞くと、CMの間は無音。

さらにCMが明けるのが、ちょっ早。



ビデオ録画。



なんと、笑点をわざわざ録画し、しかも朝方に見る、という人が存在するのであった。



さすがは人気長寿番組。

熱烈なファンを抱えているようだ。

2200回を越える放送回数にもうなずける。



笑点の末恐ろしさを知った日曜だった。



その後、だいぶ時間を空けて二度寝し、結局遅刻した。